グローバル人材育成ニュース

世界で注目の人事理論やフレームワーク、
人材育成動向を解説

カルチャーアイスバーグとは?海外ビジネスで重要な異文化理解のメカニズムを解説

カルチャーアイスバーグとは

文化の氷山モデル「カルチャーアイスバーグ」とは

氷山の大部分は海面下に隠れてみえませんが、海上に出ている部分を支えています。

文化はよく海の上に浮かんでいる氷山に例えられることがあり、文化にも氷山のように見える部分(認識できる要素)と、見えない部分(背景となる要素)があります。

これを「カルチャーアイスバーグ」といいます。

異文化を理解する際には目に見える言動の根底には必ず価値観や考え方などその文化を持つ人のアイデンティティを支えているものがあることを忘れてはいけません。

本記事では、カルチャーアイスバーグを用いて、異文化理解のメカニズムと異文化理解に際して日本人が陥りがちな問題、そしてその解決法をわかりやすく紹介します。

そもそも文化とは何か

文化の氷山モデル「カルチャーアイスバーグ」を理解するためには、まず「文化」とはどのようなものなのかを改めて、認識することが必要です。

「文化」の概念については、さまざまな学説があります。
イギリスの文化人類学者、エドワード・タイラーの著書「文化」によると、
「文化は、知識や信条、芸術、道徳、法、習慣など、人間が社会の一員として学ぶものから構成されている体系」とされます。

簡単にいうと、文化とは、ある集団が持つ固有の様式、考え方や価値基準の体系のことです。

カルチャーアイスバーグの構成

文化には、氷山のように見える部分(Perception:認識できる要素)と、見えない部分(Conception:背景となる要素)があります。これを氷山に例えて「カルチャーアイスバーグ」といいます。

氷山の大部分は、海面下に隠れて見えない部分(Conception:背景となる要素)ですが、海上に出ている見える部分(Perception:認識できる要素)を支えています。

海面上の見える(表出している)部分は、だれもが目に見えることのできる、分かりやすい文化の要素、主に言語・非言語コミュニケーションです。

一方、見えない(表出していない)文化としては、価値観・考え方・言葉の意味・行動の意味・信仰などがあり、なかなか可視化しにくい要素です。

そして、見えない文化は、見える文化よりもずっと大きく、その文化を持つ人のアイデンティティに影響を与えています。

また、カルチャーアイスバーグの見える部分は人の「言動」(言語・非言語)として現れます。また隠れている部分は人の「感情」そしてその根底の「信念」を形成しているのです。

よって、見えていない部分は、表出する部分(言葉や振る舞い)の背景や原因を知るための重要な要素といえます。

カルチャーアイスバーグからみる異文化理解のメカニズム

カルチャーアイスバーグの表面的な異文化の捉え方

カルチャーアイスバーグは文化背景に応じるため国別に形状が異なり、多種多様な氷山が出来上がります。

異文化を表す① 日本文化と ②海外(現地)文化という2つの氷山があるとしましょう。

図の①②の部分は、文化の中で表出する部分、すなわち言葉や行動(言語・非言語)、①´②´は表出しないもの(価値観・考え方)を表しています。

日本の文化、そして海外の文化でも、海面下に多くの価値観や独自の経験が沈んでいます。

ですが、日本から海外をみても、逆の場合でも、お互いの隠れた部分(①´②´)は見ることができず、水面上の部分(①②)しか目に映りません。

カルチャーアイスバーグの見えない部分を比較する

異文化を理解するためには、「カルチャーアイスバーグ」を理解し、見えない部分(Conception:背景となる要素)がどのように異なるか、比較の軸をもつことが求められます。

比較の軸としては、以下が挙げられます。

・ホフステードの6次元モデル

「ホフステードの6次元モデル」とは、オランダの社会心理学者であるヘールト・ホフステッド博士が、50年間調査を続け導き出した異文化理解の指標です。

無料資料お申込み >> 異文化理解の代表的指標~ホフステードの6次元モデル~

・カルチャーマップ

「カルチャーマップ」とは、世界有数のビジネススクール INSEADにて、異文化交渉・多文化リーダーシップについて教鞭を取るエリン・メイヤー氏が作成した、異文化人材を率いるマネージャーが自覚しておくべき8つの分野における各国文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。

無料資料お申込み >> カルチャーマップ概要と主要国位置づけ

・MタイムとP-タイム

「MタイムとP-タイム」とは、Edward T. Hall(エドワード・T・ホール)によって提唱された、文化的な時間の使い方に関する理論です。

関連記事 >> MタイムとP-タイムとは?グローバル人材育成に必要な能力とその重要性について

「カルチャーアイスバーグ」を理解し、見えない部分(Conception:背景となる要素)がどのように異なるか、比較の軸をもつことで、異文化の相手と円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を構築することができます。

その結果、海外ビジネスにおいて最適な戦略を策定し、実行することが可能となり、海外ビジネスの成功率を高めることができます。

資料ダウンロード

「文化の氷山モデル カルチャーアイスバーグとは」ダウンロード

異文化を理解するには、目に見える言動の背後には必ず、その文化を持つ人のアイデンティティを支えている価値観や考え方などが存在することを忘れてはなりません。

本資料では、異文化理解のメカニズムとしてカルチャーアイスバーグを活用し、異文化理解において日本人が陥りがちな問題と、それらを解決する方法をわかりやすく解説します。

「カルチャーマップ」の関連講座《INSIGHT ACADEMY》

異文化理解概論

講師:岡田 昭人氏

東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
オックスフォード大学教育学博士

世界で結果を出すためには「日本人なら当然と考える価値観や思考習慣が、世界ではそのまま適用されない」という事実に気づくことが第一歩です。
本講座では、多角的な切り口で異文化を理解するために、異文化理解の指標や概念を学びます。
異文化を理解するためには、カルチャーアイスバーグを認識し、自文化と異なる文化との「比較の物差し」を持つことが重要です。
「比較の物差し」の一つとして、「カルチャーマップ」を活用することが効果的です。
その上で、自国の基準で評価するのではなく、対象国の価値観や思考習慣との違い(異文化)、その裏にある背景を捉えようとする姿勢を身に付けます。

サマリー動画はこちらから 

 

合わせて読みたい

grid

お問い合わせ

CONTACT

無料トライアルご希望の方、お見積もりはこちらからお問い合わせください

arrow
お問い合わせ