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異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ 」を解説《アメリカ編》

グローバル事業成功のカギとなる異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“アメリカ”をピックアップ!

アメリカビジネスのプロフェッショナルが指標毎に解説します。

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カルチャーマップとは

カルチャーマップとは何か

カルチャーマップとは、エリン・メイヤー氏が世界有数のビジネススクール INSEADで教授を務める中で、同校のプログラム参加者である世界各地から集まったエグゼクティブから得た情報を検証し作成された、マネージャーが自覚しておくべき8つの指標において、67カ国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。

カルチャーマップの8つの指標

01:コミュニケーション
・他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
⇒明確な物言いを好む文化=ローコンテクスト
含みのある物言いを好む文化=ハイコンテクスト

02:評価
・否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか

03:リード
・権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるか
⇒敬意・服従の強い文化=階層主義的、弱い文化=平等主義的

04:決断
・意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するか
⇒合意を重視する文化=合意志向、個人で決断をする文化=トップダウン

05:信頼
・信頼形成にあたり、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するか

06:見解の相違
・意見の対立を是とするか、非とするか

07:スケジューリング
・スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
⇒スケジュール遵守=直線的な時間、状況に合わせる=柔軟な時間

08:説得
・他者を説得する際、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すか

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「国別カルチャーマップ アメリカ編」

資料概要

グローバルビジネスにおいて企業から多くよせられる相談のひとつに、「相⼿国の⽂化の理解がマネジメントのネックになっている」というものがあります。

グローバル環境で成果をあげていくためには、異⽂化を理解するための指標を持ち、その背景や要因を紐解いて柔軟に対応していく⼒を⾝につけておく必要があります。

インサイトアカデミーでは、独自にプロッティングした65か国の中から、この度“アメリカ”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量 / 定性の両面から分析し、アメリカビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んだ「国別カルチャーマップ アメリカ編」をリリースいたしました。

日本との違いをより詳しく学ぶことで、どのような行動をとればよいのかのヒントが見つかるはずですので、アメリカでビジネス展開をされている企業様はもちろん、仕事上でアメリカの方とコミュニケーションをとる方など、アメリカビジネスに携わるすべての方におすすめの資料です。

「国別カルチャーマップ アメリカ編」資料ダウンロードはこちらから 

資料目次

1. カルチャーマップとは
1-A エリンメイヤーとカルチャーマップ
1-B カルチャーマップ8つの指標

2. カルチャーマップ –アメリカ-
2-A コミュニケーション★
2-B 評価★
2-C リード
2-D 決断
2-E 信頼
2-F 見解の相違
2-G スケジューリング★
2-H 説得
2-I 日本&アメリカ文化特性比較

本記事では、上記項目の「★」印のプロフェッショナル講師による解説を公開します。

プロフェッショナル講師による「カルチャーマップ アメリカ」の解説

講師紹介

蛯名 淳氏
元 米国IBM Corporation 人事ダイレクター、現 ファナック株式会社 人事本部長

コーネル大学大学院修了後、米国にて、北米パナソニックグループでの管理部門拠点代表および人事部門責任者、米国 IBM 本社での人事ダイレクター、米国通信 SprintInternational での人事責任者を歴任。事業構造改革・組織改革を中心に、責任者として数億から数百億円単位の増益をもたらした各種プロジェクトを立案・実行。
日本帰国後は、日本初の空港民営化企業・関西エアーポートにて、管理部門担当役員として高生産性企業作りを、旧パナソニックヘルスケア・PHC にて、CHRO として世界共通制度導入等を実現。

本稿執筆後、工場自動化設備で世界トップクラスのシェアを誇るファナックに入社し、現在は人事の責任者を務める。10 年余りの米国経験前には、日産自動車でのゴーン改革や、人事全域・経営企画・営業等を幅広く経験。

コミュニケーション

他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか

▼ロ-コンテクスト
1.良いコミュニケーション=厳密・シンプル・明確
2.メッセージは額面通りに伝え、受け取る
3.コミュニケーション明確化のため、繰り返しも歓迎

▼ハイコンテクスト
1.良いコミュニケーション=繊細・含みがある・多層的
2.メッセージは行間で伝え、行間で受け取る
3.ほのめかしも多く、はっきりと口にすることが少ない

◎プロフェッショナル講師の解説

アメリカは「人種のるつぼ」(Melting Pot)と言われる通り、多種多様な人種・バックグラウンドの人達が国民を形成している上、ビジネスを始め、スポーツ・芸術など、様々な業界で多くの人材を海外から招聘していることから、価値観や考え方は群を抜いて、多種多様になっていると言えるのではないでしょうか。この文化的背景もあり、日米で大きく傾向が異なる結果には納得感があります。

ご存じのように、日本は大半が先祖代々日本生まれ・日本育ちの方が多い上、伝統的に教育も同質性が強調されて来た経緯等もあり、多くの要素で「普通」が確立されていることを考慮すれば、正に反対です。ビジネス上の影響として分かりやすい例が、長い契約書です。訴訟社会であること、また転職が多く担当が頻繁に交代することも相まって、非常に多くの前提条件を明記するのが一般的で、契約交渉には一定の覚悟が必要と言えます。

評価

否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか

▼否定的なフィードバックを直接的に伝える
1.否定的なフィードバックは率直・単刀直入・正直に
2.否定的なフィードバックを肯定的なフィードバックで和らげることはしない
3.「間違いなく不適切だ」「全く以ってプロフェッショナルではない」といった断定的な表現が用いられる
4.批判はグループの前で個人に対し行われることもある

▼否定的なフィードバックを遠回しに伝える
1.否定的なフィードバックは柔らかく・さりげなく・やんわりと
2.肯定的なメッセージで否定的なメッセージを包み込む
3.「やや不適切だ」「少しプロフェッショナルではない」といった婉曲な表現が用いられる
4.批判は1対1でのみ行われる

◎プロフェッショナル講師の解説

アメリカ人はダイレクト感が強い印象がある方も多いことから、意外に思われるかも知れませんが、アメリカでは否定的なフィードバックについてはダイレクト一辺倒ではありません。

この要因については、Positive thinking を大切にする価値観と、At-will と言われる雇用制度が主に影響していると考えます。At-will とは簡単に言えば、いつでも、労使どちらからでも、理由にかかわらず(理由がなくても)雇用終了が出来るという、雇用の大原則のことです。

解雇が比較的容易なことで、日本程、「この位に育って貰わないと困る」という雰囲気はなく、より本人のためのアドバイスに徹していることが多いことで、耳の痛いフィードバックも否定的に聞こえ難くなる効果があります。これらの背景に加え、訴訟大国であることもあり、改善の見込みが無い場合には、無理にフィードバックせずに解雇するケースも散見されます。

解雇にも主に、ビジネス上の組織改変に伴う「Layoff」と、個人の低業績や懲戒に伴う「Termination forcause」の2種類がありますが、低業績でも前者が多用されています。

スケジューリング

スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか

▼直線的な時間
1.プロジェクトは連続的なもので、工程が一つずつ順番に進み、邪魔が入ることは想定されていない
2.締め切り、スケジュール通りに進むことが重要視される
3.組織性や迅速さに価値が置かれる

▼柔軟な時間
1.プロジェクトは流動的なもので、場当たり的、同時進行で複数の作業が進められ、邪魔が入ることも受容される
2.順応性と柔軟性に価値が置かれる

◎プロフェッショナル講師の解説

この結果自体は妥当と考えますが、日米で性質は異なっているように思います。更に具体的には、日本は場合によらず全般的に時間を守るのに対し、アメリカでは事柄によってメリハリがついている印象です。

遅れに寛容な例として、Family first の価値観に基づいて家庭の問題に起因するもの、飛行機・車移動中心の社会構造からフライト遅れ・イレギュラーな渋滞に起因するもの等。一方で成果優先でお作法・礼儀などには寛容なため、遅れによって画面も見えずに運転中に会議に入る、食べる時間がなくなったために会議にランチを持ち込んで時間を節約する、などは、余程上層部が入る会議でない限り、頻繁に見られます。

これは、上の項目で述べた成果・タスクの達成に向けた姿勢、時間は有限の資産として、皆で節約に向けて協力しようとする文化があることが影響しています。

尚、会議については延長は基本無いと思った方が良く、参加者も次の予定があるとどんどん抜けて行ってしまうため、会議の主催者であれば時間内に一定の Wrap up をする必要があると考えます。

尚、これは余談ですが、赴任して生活する方々は、お金の支払いや、政府機関の締切が厳しいことなどは、意識されることをお勧めします。クレジットカードの支払いや、IRS(日本の税務署)、DMV(同、免許事務所)などが例になります。

資料ダウンロード

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異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“アメリカ”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量/定性の両面から分析し、アメリカビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んでいます。

ぜひ貴社のアメリカビジネスにおける異文化マネジメントにご活用ください。

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「カルチャーマップ」の関連講座《INSIGHT ACADEMY》

異文化理解概論

講師:岡田 昭人氏

東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
オックスフォード大学教育学博士

世界で結果を出すためには「日本人なら当然と考える価値観や思考習慣が、世界ではそのまま適用されない」という事実に気づくことが第一歩です。

本講座では、多角的な切り口で異文化を理解するために、異文化理解の指標や概念を学びます。
異文化を理解するためには、カルチャーアイスバーグを認識し、自文化と異なる文化との「比較の物差し」を持つことが重要です。
「比較の物差し」の一つとして、「カルチャーマップ」を活用することが効果的です。

その上で、自国の基準で評価するのではなく、対象国の価値観や思考習慣との違い(異文化)、その裏にある背景を捉えようとする姿勢を身に付けます。

サマリー動画はこちらから 

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