異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ 」を解説《アメリカ編》
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人材育成動向を解説
目次
グローバル事業成功のカギとなる異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“マレーシア”をピックアップ!
マレーシアビジネスのプロフェッショナルが指標毎に解説します。
カルチャーマップとは、エリン・メイヤー氏が世界有数のビジネススクール INSEADで教授を務める中で、同校のプログラム参加者である世界各地から集まったエグゼクティブから得た情報を検証し作成された、マネージャーが自覚しておくべき8つの指標において、67カ国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。
01:コミュニケーション
・他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
⇒明確な物言いを好む文化=ローコンテクスト
含みのある物言いを好む文化=ハイコンテクスト
02:評価
・否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか
03:リード
・権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるか
⇒敬意・服従の強い文化=階層主義的、弱い文化=平等主義的
04:決断
・意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するか
⇒合意を重視する文化=合意志向、個人で決断をする文化=トップダウン
05:信頼
・信頼形成にあたり、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するか
06:見解の相違
・意見の対立を是とするか、非とするか
07:スケジューリング
・スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
⇒スケジュール遵守=直線的な時間、状況に合わせる=柔軟な時間
08:説得
・他者を説得する際、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すか
グローバルビジネスにおいて企業から多くよせられる相談のひとつに、「相⼿国の⽂化の理解がマネジメントのネックになっている」というものがあります。
グローバル環境で成果をあげていくためには、異⽂化を理解するための指標を持ち、その背景や要因を紐解いて柔軟に対応していく⼒を⾝につけておく必要があります。
インサイトアカデミーでは、独自にプロッティングした65か国の中から、この度“マレーシア”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量 / 定性の両面から分析し、マレーシアビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んだ「国別カルチャーマップ マレーシア編」をリリースいたしました。
日本との違いをより詳しく学ぶことで、どのような行動をとればよいのかのヒントが見つかるはずですので、マレーシアでビジネス展開をされている企業様はもちろん、仕事上でマレーシアの方とコミュニケーションをとる方など、マレーシアビジネスに携わるすべての方におすすめの資料です。
「国別カルチャーマップ マレーシア編」資料ダウンロードはこちらから
1. カルチャーマップとは
1-A エリンメイヤーとカルチャーマップ
1-B カルチャーマップ8つの指標
2. カルチャーマップ –マレーシア-
2-A コミュニケーション★
2-B 評価★
2-C リード
2-D 決断
2-E 信頼
2-F 見解の相違
2-G スケジューリング★
2-H 説得
2-I 日本&マレーシア文化特性比較
本記事では、上記項目の「★」印のプロフェッショナル講師による解説を公開します。
山本 良一氏
元キーエンス ・ マレーシア現地法人責任者
1989 年 株式会社キーエンス入社。 1998 年マレーシアとタイの 2 現法設立、その後マレーシアに 8 年駐在、タイ 5 年、シンガポール 2 年、インド 5 年、ブラジル 2 年駐在。
シンガポール駐在時にはインド現法も設立、キーエンス在職時に 3現法を設立、22 年間現法責任者を勤め、2020 年キーエンスで初めて海外にて60 歳の定年退職を迎えた。
マレーシア駐在時代の 8 年の間に、グローバル人材派遣制度を立ち上げ、出来たばかりの中国や、アメリカとのプロジェクト推進にマレーシア人を抜擢、派遣。
マレーシア現地法人の育成にも評価が高く、2005 年度育成部門で MVP 受賞を全社で唯一受賞。
他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
▼ロ-コンテクスト
1.良いコミュニケーション=厳密・シンプル・明確
2.メッセージは額面通りに伝え、受け取る
3.コミュニケーション明確化のため、繰り返しも歓迎
▼ハイコンテクスト
1.良いコミュニケーション=繊細・含みがある・多層的
2.メッセージは行間で伝え、行間で受け取る
3.ほのめかしも多く、はっきりと口にすることが少ない
◎プロフェッショナル講師の解説
マレーシアは、マレー系 6 割、中華系 3 割、インド系 1 割で構成される多民族国家です。公用語はマレー語ですが、英語が準公用語になっています。
これらの3つの民族がそれぞれの得意領域で社会を構成しています。宗教も慣習もかなり異なる民族ですが、お互い同じ民族間では、かなりハイコンテクストなコミュニケーションになっています。
しかし、多民族間ではローコンテクストであり、英国連邦の一員でもありますので、英語でのコミュニケーションも頻繁に行われます。
ビジネスの世界では中華系、政府の役人関連はマレー系、弁護士、会計士はインド系とわかれていますので、それぞれの分野に入り込むにはハイコンテクストアプローチが必要になります。
否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか
▼否定的なフィードバックを直接的に伝える
1.否定的なフィードバックは率直・単刀直入・正直に
2.否定的なフィードバックを肯定的なフィードバックで和らげることはしない
3.「間違いなく不適切だ」「全く以ってプロフェッショナルではない」といった断定的な表現が用いられる
4.批判はグループの前で個人に対し行われることもある
▼否定的なフィードバックを遠回しに伝える
1.否定的なフィードバックは柔らかく・さりげなく・やんわりと
2.肯定的なメッセージで否定的なメッセージを包み込む
3.「やや不適切だ」「少しプロフェッショナルではない」といった婉曲な表現が用いられる
4.批判は1対1でのみ行われる
◎プロフェッショナル講師の解説
マレーシアは 1971 年からブミプトラ政策を取ってマレー人を優遇して来た背景があります。
公務員の採用、国立大学の入学枠が人種比率に比例していて、例えばマラヤ国立大学の定員が 100 人だとすると中華系は 30 人、インド系は 10 人しか入学することができません。
この政策が、中華系・インド系の競争力を高め、優秀な人材を生み出すことに繋がりましたが、そのような優秀な人材が、マレーシアでは無くアメリカや中国等の海外に活躍の舞台を求める傾向があるのも事実です。
残念ながらこの制度がマレーシアの中華系、インド系の人々に評価制度に対する不信感を抱かせているように思います。
従って、否定的なフィードバックをする必要がある場合は、かなり慎重に、かつ丁寧に説明しなければなりません。
もちろん、個室、対面で実施することが必須条件です。
スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
▼直線的な時間
1.プロジェクトは連続的なもので、工程が一つずつ順番に進み、邪魔が入ることは想定されていない
2.締め切り、スケジュール通りに進むことが重要視される
3.組織性や迅速さに価値が置かれる
▼柔軟な時間
1.プロジェクトは流動的なもので、場当たり的、同時進行で複数の作業が進められ、邪魔が入ることも受容される
2.順応性と柔軟性に価値が置かれる
◎プロフェッショナル講師の解説
悠々とした時間が流れている東南アジア諸国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、そしてインドや中国と比べると、マレーシア人は「スケジュールに厳しいが、シンガポールや日本程は厳しく無い」、という判断は妥当かと思います。
結局、重要な決定に関して日本のような話し合いはほぼなく、決裁権のある方が個人ベースで決定される事が多いため、会議等で段階的に決定・実行される事での締め切りやスケジュールには、懐疑的になった方が良いかもしれません。
異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“マレーシア”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量/定性の両面から分析し、マレーシアビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んでいます。
ぜひ貴社のマレーシアビジネスにおける異文化マネジメントにご活用ください。
講師:岡田 昭人氏
東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
オックスフォード大学教育学博士
世界で結果を出すためには「日本人なら当然と考える価値観や思考習慣が、世界ではそのまま適用されない」という事実に気づくことが第一歩です。
本講座では、多角的な切り口で異文化を理解するために、異文化理解の指標や概念を学びます。
異文化を理解するためには、カルチャーアイスバーグを認識し、自文化と異なる文化との「比較の物差し」を持つことが重要です。
「比較の物差し」の一つとして、「カルチャーマップ」を活用することが効果的です。
その上で、自国の基準で評価するのではなく、対象国の価値観や思考習慣との違い(異文化)、その裏にある背景を捉えようとする姿勢を身に付けます。
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