「外国人材と共に働く日本人意識調査」企業に求められる対策とは
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ジェトロでは、2023/8/21~9/20にかけて、アジア大洋州地域に進出している1万社を超える日系企業を対象に、アンケート調査「2023年度海外進出日系企業実態調査」を実施しました。
本記事では同調査結果を基に、アジア大洋州地域に進出する日系企業が抱える人材確保や人件費高騰の現状、そしてその対策などについてポイントをご紹介します。
アジア大洋州地域における日系企業の経営状況、現地のビジネス環境の変化を把握することで、海外事業戦略立案や当該国のビジネス環境改善立案等における指標としてご利用いただけます。
「人材不足の課題に直面している」と回答した割合は、マレーシアが63.5%と最も高く、ラオス、オーストラリア、シンガポール、フィリピンが続きます。
マレーシアでは、製造業よりも非製造業が「全地域」との格差が大きく、非製造業の中でも建設業の開きが大きい結果となりました。同国では、新型コロナウイルス禍後の建設プロジェクト一斉再開により、建設業の人手が逼迫し、半導体関連の投資が相次ぐ地域での工事の遅れが指摘されています。
他方で、ベトナム、タイ、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマー、インドネシア、パキスタン、スリランカでの業種を問わない全体の回答率は5割を切りました。
スリランカにおいて人材不足に悩む日系企業が比較的に少ない背景として、市場での製品・サービス需要の低下のほか、地場企業よりも概して賃金の高い日系企業での就労を希望する労働者が多いことなどが挙げられます。
画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構
人材不足の課題に直面している企業に人材不足の深刻度合いを職種別に尋ねたところ、マネージャーなどの「一般管理職」、法務/経理/エンジニアなど専門技能を必要とする「専門職種」では、14カ国全てで「やや深刻」もしくは「とても深刻」と回答した割合が50%を超えました。
半数以上の国で、専門職種の人材不足が深刻と回答した割合が最も高い結果となりました。例えば、カンボジアでは、投資環境のリスクとして「税制・税務手続きの煩雑さ」が上位になるなど、税務対応人材の確保が課題とされ、税務を理解する経理担当者は管理職よりも給与水準が高くなる場合もあります。
また、パキスタン、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュなどでは、専門職種を筆頭に、上級管理職、一般管理職の人材不足が深刻であることがわかります。
例えば、ミャンマーでは、見通しが立たない国内情勢などを背景に、国外での就労による人材の流出が進んでいます。技能実習制度などを利用した国外就労先として日本が人気を集めており、日本での就労ビザ取得の条件となる日本語能力試験への応募者数は年々増加しています。
画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構
各所在国で挙がった投資環境面でのリスクは上位から、「人件費の高騰」、「現地政策の不透明な政策運営」、「税制・税務手続きの煩雑さ」、「法制度の未整備・不透明な運用」という結果になりました。
第一位の「人件費の高騰」は自動化への取り組みの後押しとなっています。自動化に取り組む理由の多くは「生産ラインや生産技術の高度化」ですが、オーストラリア、シンガポール、タイ、インドネシアでは、「人件費の上昇」との回答が「生産ラインや生産技術の高度化」を上回りました。また、オーストラリア、シンガポール、マレーシアでは、自動化に取り組む背景として「ワーカー不足」を挙げる割合は50%を超えた。
一方で、所在国の投資環境面でのメリットとして「市場性規模/成長性」、「人件費の安さ」、「安定した政治・社会情勢」が上位に上がった。「人件費の安さ」では、ラオス、ミャンマー、フィリピンでの回答割合が高くなりました。
ラオスでは、現地通貨キープがドルに対して大幅に値を下げており、キープ安に伴う物価高騰による実質賃金の目減り、隣接国タイでの外国人労働者に対する需要の増加、タイでの最低賃金引き上げなどが出稼ぎ要因になっている。「人件費の安さ」は進出企業にとって魅力となるケースもあるが、国内からの労働流出の要因にもなっています。
画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構
アジア大洋州地域に進出する日系企業が直面する人材確保や人件費高騰の現状、さらにはこれら課題への対策の実態を把握し、その結果を広く提供することを目的とする。
南アジア、南西アジア、オセアニアに進出している1万社を超える日系企業
(日本側による直接、間接の出資比率が10%以上の現地法人、日本企業の支店・駐在員事務所)
2023年8月21日~9月20日
東南アジア、南西アジア、オセアニアに進出する日系企業11,393社を対象に実施、3,746社から回答を得た。(有効回答率32.9%)
配信元:独立行政法人日本貿易振興機構
公開日:2024/3/21
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