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中国駐在のリスクガイド|反日感情・暴力事件・反スパイ法への対策

中国駐在のリスクガイド|反日感情・暴力事件・反スパイ法への対策

「反日感情のニュースを見るたびに中国駐在は大丈夫なのだろうかと不安になる」
「暴力事件や反スパイ法の話を聞くと家族を帯同させても平気なのか心配になる」

中国駐在が決まったとき、こうした不安を感じたことはないでしょうか。

反日感情や暴力事件、反スパイ法のニュースに触れるたびに、「中国は危険な国なのではないか」と思う方は少なくないでしょう。

しかし、現地の実情はそう単純な「危険か安全か」の二択では語れません。

上海・北京・天津・青島で日系企業の法務支援を行う、リドラ・ローファーム シニアコンサルタントの松本秀敏氏は、こうした「反日」の実態や反スパイ法への実務対応を、日々のビジネスの現場で得た実感をもとに解説しています。

本記事では、松本氏の講演内容をもとに、中国駐在における身の安全と法務リスクの両面から、駐在員が知っておくべき実情と具体的な対策を整理して解説します。

正しくリスクを理解し具体的な備えをしておけば、身の安全の面でも法務コンプライアンスの面でも、中国駐在は過度に恐れる必要のない場所です。

「危険か安全か」ではなく「何が、いつ、なぜ危険なのか」を知ることが、安心して駐在生活を送るための第一歩になります。

なぜ中国駐在で「反日」が心配になるのか

景気減速と社会不安の高まり

中国経済は、都市部を除いて停滞感が漂っています。
上海市や北京市といった大都市でも、一部で不動産価格の下落が続いており、松本氏のもとに寄せられる日系企業からの相談も、リストラや現地法人の解散・清算といった、事業縮小に関するものが増えているといいます。

雇用情勢も厳しく、若年層・新卒者の就職難が深刻化しています。
バーチャルオフィスなどを使って架空の職場を提供し、給与明細や在職証明まで発行するサービスまで登場しているといい、松本氏はこの状況を「日本でいうロスジェネに近い様相」と表現しています。

「反日」の歴史的背景——なぜ日本だけが特別視されるのか

中国の歴史教科書では、義和団事件(北清事変)を鎮圧した8か国連合軍については「略奪と市場開放」が目的だったと説明される一方、日本の侵略は「中国全土に及ぶ全面侵略」であり「民族的な転覆」を目的としたものとして、性質が異なるものと位置づけられています。

松本氏は、この違いが「なぜ日本だけが特別視されるのか」という問いへの1つの答えになっていると説明しています。

SNSショート動画と反日映画の影響

松本氏によれば、近年の対日感情の悪化には、学校での反日教育そのものよりも、SNS上に拡散される真偽不明の「ショート動画」の影響が大きいといいます。
日本人留学生の観光の様子を「襲撃の準備をしている」と煽ったり、日本人学校を「スパイ養成のための機関だ」と事実に反する内容で喧伝したりする動画が、数多く出回っているとのことです。

2025年に公開され、興行収入500億円を超える大ヒットとなった映画『南京写真館』も、こうした空気を後押しした一本だと松本氏は指摘します。
劇中の日本人は徹底して悪役として描かれており、次のセリフがネット上で繰り返し引用されているといいます。

「私たちは友達ではない。友達であったことは一度もない」

この映画を見た後、子どもが泣きながらお気に入りのウルトラマンのカードを捨てる動画や、上映後に観客が中国国歌を合唱する動画もSNSで拡散したといいます。
さらに9月18日——満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日——には、旧日本軍731部隊を題材にした映画があえてこの日に合わせて公開されるなど、歴史記念日周辺の演出も見られたと松本氏は述べています。

📌 ポイント
反日感情の高まりについて松本氏は、学校教育そのものよりも、SNSで拡散される真偽不明のショート動画や、歴史的な記念日に合わせて公開される映画の影響が大きいと説明しています。

実際に起きている暴力事件と、そのリスクの実情

ここ数年、日本人や日本人学校が標的となる事件が実際に起きています。
松本氏の講演資料をもとに、公表されている事件を時系列で整理します。

2024年6月24日蘇州日本人学校バス襲撃事件 日本人学校スクールバス襲撃
2024年9月18日深圳日本人児童刺傷事件 男性が日本人少年を刃物で刺傷。SNSでは日本人学校への中傷動画が大量に拡散。
2025年7月31日蘇州地下鉄襲撃事件 日本人母子が駅で投石攻撃を受け、母親が負傷。中国当局が犯人を拘束。

なぜ日本人や日本人学校が標的にされやすいのか

松本氏は、こうした事件の背景に「社会に対する不満や自暴自棄から、無差別的な事件を起こしてしまう人物が一定数いる」ことを挙げます。
そうした人物が、反日的なショート動画の影響を受け、「日本人を襲えば、自分は英雄として評価されるのではないか」という誤った期待を抱いてしまうケースがあるといいます。

また、実際に日本人と接したことのない人が、反日ドラマで描かれる「日本人像」が本当かどうかを確かめたい好奇心から、からかい半分で声をかけてくることもあると松本氏は説明しています。

📌 ポイント
事件の背景には「日本人だから狙われる」というより、社会不安を抱えた一部の人物が反日的な情報の影響を受けて凶行に及ぶ、という構図があります。

「反日」は「危険」とイコールではない——中国駐在のリアルな実情

あるとき、中国でタクシーに乗っていた日本人駐在員が運転手から「日本人か」と尋ねられました。
正直に「日本人だ」と答えたところ、運転手は急に相好を崩し、「こないだ大阪に買い物に行ってきたんだ、安くていいものがいっぱい買えて、やっぱり日本はいいなあ」と、日本のアーティストの曲までラジオで流しながら熱く語り始めた——という場面があったといいます。
反日感情が話題になりがちな一方で、現地ではこうした場面も日常的に起きています。

対日感情の数字だけを見ると、悪化は事実です。
日本経済新聞の報道によれば、中国における対日好印象は2023年の37.0%から2024年には12.3%まで下がり、悪印象は62.9%から87.7%へと急増しています。

一方で、海外の大使館・領事館が管轄エリア内での邦人援護件数(事故・犯罪被害等)を発表した際のトップ10(2023年)に、中国は入っていません。
約9万7000人(2025年2月時点)もの日本人が暮らす国でありながら、援護件数そのものは突出して多いわけではない、という事実もあります。

松本氏自身、2025年8月22日——大使館が「日本人同士で集まって騒ぐのは控えるように」と呼びかけていた、歴史的にセンシティブな時期——に、上海の日本食店で日本人たちが集まって『サライ』を合唱する場面に居合わせたといいます。
トラブルになる様子はなく、「そこは少し安心してもらってよいのではないか」と松本氏は述べています。

松本氏は、中国について「銃で撃たれることも、肌の色で差別されることもない国」だとし、駐在を終えて帰任する人の多くが「離れるのが寂しい」と話すのが実際だとも述べています。
「海外である」ことを念頭に置いた注意は必要ですが、過度に萎縮する必要はない、というのが松本氏の見立てです。

ただし、話題選びには配慮が必要です。

松本氏は、台湾問題については、日本に理解のある相手であっても自分から話題に出さない方がよいと述べています。
また、処理水問題などをめぐって「日本側の事実を教えてあげよう」とするような言動も、国家転覆を企てているのではないかと誤解されるリスクがあるため避けるべきだと説明しています。

📌 ポイント
「反日」は「危険」と同義ではありません。データや実際の生活実感を踏まえれば中国は基本的に平和に過ごせる国であり、話題選びなど最低限の配慮をしていれば過度に恐れる必要はありません。

家族と自分の身を守るための具体的な安全対策

とはいえ、日本人学校や日本人の子どもが襲撃の対象になりやすいという実情がある以上、具体的な備えは欠かせません。
松本氏が挙げる注意点を、場面ごとに整理します。

行動する地域

具体的な注意点

上海・北京・香港・深センなど、日頃から外国人との接点が多い地域は比較的安全。ただし日本人学校・日本人児童は襲撃の対象と見られやすい。

駐在生活での活かし方

子どもの通学路や行動範囲では、特に警戒心を高めておく。

子どもの行動

具体的な注意点

公園やモール内の遊戯施設であっても、子どもだけでの行動は避ける。人混みの中では子どもから目を離さない。成人男性が不在の場合は複数名での行動が望ましい。

駐在生活での活かし方

家族内の外出ルールとして、事前に共有しておく。

服装・持ち物

具体的な注意点

男性のボディバッグ、女性の日傘など「日本人と分かりやすい格好」は、駅や空港など様々な属性の人が集まる場所では避ける。大声での日本語の使用も控える。

駐在生活での活かし方

現地に溶け込む服装・持ち物に調整する。

通信手段

具体的な注意点

WeChat(微信)など中国国内の通信ツールは、検閲・通信遮断のリスクがある。

駐在生活での活かし方

日頃から、日本との連絡ルートを別途確保しておく。

情報収集

具体的な注意点

大使館・領事館は現地の情報を最も正確に発信している窓口。

駐在生活での活かし方

渡航前にメールマガジンなどへの登録を済ませておく。

📌 ポイント
「怪しいと思ったら、過剰反応だと思われてもとにかく逃げる」

身の安全と併せて押さえておきたい「反スパイ法」への実務対応

中国駐在でもう1つ気になるのが「反スパイ法」ではないでしょうか。

2024年7月にはアステラス製薬の男性社員に対する判決が北京の裁判所で言い渡され、「自分も出張したら拘束されるのでは」という相談が松本氏のもとにも数多く寄せられているといいます。

反スパイ法とは何か 「スパイ行為」の基準

反スパイ法において「スパイ行為」とされるのは、大きく分けて、国家秘密や国家安全に関わる情報を窃取・偵察・買収・不法提供する行為と、スパイ組織やそのエージェントに関与・協力する行為です。

何が「国家秘密」や「国家安全と利益に関わる情報」に該当するかは国家保密部門・地方保密部門が判断するため、ビジネスの現場で事前に線引きを把握するのは難しいと松本氏は指摘します。

あえて厳密に定義してしまうと「その定義を避ければスパイ行為にならない」という抜け道を作ってしまうため、ある程度幅を持たせた条文になるのはやむを得ない面がある、とも説明しています。

アステラス製薬事件の判決から分かること

判決 2024年7月16日、北京の裁判所で判決が言い渡されました。
認定された事実 日本の情報機関の依頼を受け、報酬を得て中国国内の情報を提供していたことが認定されました。
量刑 懲役3年6か月。過去には10年を超える量刑となったケースもあり、それと比較すると短い刑期になったとみられます。
非公開の部分 裁判そのものは非公開で行われており、どのような行為が具体的に「スパイ行為」と認定されたのかについて、公式な発表はありません。

「日本の情報機関」が具体的にどの組織を指すのかは公表されておらず、受け取った「報酬」が金銭のみだったのかも明らかにされていません。
松本氏は、金銭以外の便宜(会食などの接待を含む)も報酬に含まれ得ると考えた方がよいと述べています。

それでも、この判決は反スパイ法に対応するうえで1つの指針になると松本氏は位置づけています。

一般的な駐在員・出張者が注意すべき具体的なポイント

公的機関の職員との不用意・頻繁な接触

理由

大使館・領事館の職員であっても様々な背景を持つ人がいる。誰が公的な立場の人物かを必ずしも明かしてもらえるとは限らない。

実務での活かし方

情報収集自体は問題ないが、「頻繁に・密接に」接触することは避ける。

出所不明の「内部資料」「未公開情報」の受け取り

理由

知らずに受け取っただけでも、不正な手段で入手されたデータに関与したとみなされるリスクがある。

実務での活かし方

出所不明の資料・データの提供は、その場で受け取りを断る。

市場で流通するデータの安易な利用

理由

「業界統計データ」などであっても、入手経路が不明瞭な場合はリスクになり得る。

実務での活かし方

データの出所を厳格に確認したうえで利用する。

大学・国営企業との共同研究

理由

研究成果や提供データが、後から「国家安全に関わる情報」とみなされる可能性がある。

実務での活かし方

契約書の条文に「秘密非該当」を保証させる条項を盛り込んでおく。

現地政府・共産党関係者への挨拶・接待

理由

地位の高い人ほど、外部との接触を「接待を受けた」「賄賂を受け取った」とみなされることを警戒し、安易には受け取らない。逆に「挨拶してくれれば何でもやる」と気軽に応じる人ほど、実務上は頼りにならないことが多い。

実務での活かし方

挨拶や訪問を目的化せず、相手が組織の中で本当に重要な「キーパーソン」かどうかを、役職や肩書きに囚われずに見極める。

📌 ポイント
情報収集そのものが問題なのではなく、「誰と・どのくらいの頻度で・どんな形で」接触するかが、反スパイ法との関係では重要になります。

公安調査庁など捜査機関と接触するとどうなるのか

セミナーでは、参加者から「日本の公安調査庁と接触することで、中国当局から拘束されるリスクが高まると聞くが、注意すべき点を教えてほしい」という質問が寄せられました。

松本氏は、自身が「私は公安調査庁の人間です」と名乗る人物に会ったことは一度もなく、そうした立場の人が公にそれを明かすこと自体、考えにくいと説明しています。

大使館や領事館の職員であっても、必ずしも外務省出身とは限らず、様々な省庁的背景を持つ人がいるため、その中に公安調査庁の関係者が含まれている可能性もゼロとは言えない、というのが松本氏の見方です。

📌 ポイント
大使館・領事館の職員だからといって、必ずしも同じ立場・背景とは限りません。相手の所属を過信せず、不用意な政治的発言や情報提供を避けることが基本になります。

拘束された場合、日本政府は交渉してくれるのか

あわせて、「拘束された日本人駐在員に対し、日本政府による解放交渉は欧米政府に比べて弱いのではないか」という質問も寄せられました。

松本氏は、政治的な事柄であるため断言はできないとしたうえで、詳しい経緯は明らかにされていないものの、3年6か月という比較的短い期間での釈放は、日本政府が交渉した成果である可能性もあり、必ずしも交渉力が弱いとは言い切れないとの見方を示しています。

「身柄拘束」は本当に心配すべきことなのか——数字と実例で見る実情

中国に住む日本人は、2025年2月時点で約9万7000人。2014年の反スパイ法施行以降、拘束された邦人は17人で、そのうち9人がスパイ罪を認定されています(外務省統計データ)。

松本氏のもとには、実際にこんな相談も寄せられているといいます。
「元従業員から労務トラブルで訴訟を起こされているが、董事長(代表取締役に相当)である人物が現地に行っても大丈夫か」というものです。

松本氏は、このケースについて「そもそも身柄を拘束される可能性はほとんどない」と説明しています。

身柄拘束の可能性があるとすれば、贈収賄、横領、背任、脱税、知的財産権の侵害(大規模な模倣品の製造・販売)、重大事故、スパイ行為といった刑事事件に関わる場合であり、労務トラブルはあくまで民事訴訟であって当事者は法人であるため、このケースはそれには当たらないと述べています。

松本氏は、「中国の政府高官と直接中国語でコミュニケーションを取り、重要なデータを引き出せるような立場にある人が、実際にどのくらいいるだろうか」と問いかけます。
多くの一般的な駐在員には、そもそもそうした人脈も接触機会もないため、反スパイ法に抵触するような行動自体が起こりにくいというのが松本氏の見方です。

また、仮に身柄を拘束されるリスクを考えるのであれば、スパイ行為よりもむしろ、横領や贈収賄、知的財産権の侵害といった経済犯罪や、事故に巻き込まれるケースの方が可能性としては高いのではないか、と松本氏は指摘しています。

📌 ポイント
一般的なビジネスパーソンが反スパイ法に問われる可能性は高くありません。労務トラブルなどの民事案件は身柄拘束とは性質が異なり、むしろ横領・贈収賄などの経済犯罪や事故への注意の方が、実務上は重要になります。

出張・駐在中の通信機器とSNS利用で気をつけたいこと

出張の場合、一般的には日本のスマートフォンをそのまま持ち込み、データローミングで利用することが多いといいます。
データローミングの場合は特段の検閲がかからないため、大きなトラブルにはならないと松本氏は説明しています。
VPNや日本のアプリを入れていると「削除するよう指摘される」「入国時にチェックされる」といった噂もありますが、実際にそうした指摘を受けて削除させられたという話は聞いたことがなく、過度に心配する必要はないとの見解を示しています。

一方、長期赴任の場合は、日頃から日本との通信手段を確保しておくことが望ましいといいます。
松本氏自身は、最新機種には変えず、SIMを2枚挿せる機種を使い、データ通信は中国のSIM、電話回線は日本の電話番号でつながるようにしているそうです。
今後は、日本向け・中国向けでスマートフォンを2台に分けて使うことも選択肢になる、との考えを示しています。

検閲についても、松本氏自身は直接経験したことはないといいますが、友人の例として、新型コロナウイルスの流行時に「どこどこが封鎖された」といった情報を数多く発信していた人物が、その中にデマ情報が含まれていた可能性もあり、あまりに広く発信したためWeChat(微信)の利用を3日間停止されたり、送信したメッセージが相手に届かなくなったりした例があったと述べています。

📌 ポイント
個々の投稿がすぐに問題になるというより、真偽不明な情報を大量・継続的に発信する行為が、通信の制限につながるリスクがあるとみられます。

家族への説明と、単身赴任という選択肢

松本氏の講演では、参加者に「帯同・単身赴任に限らず、駐在員の家族へ中国の実情を説明する場を設けているか」という問いが投げかけられました。
実際には8〜9割が「設けていない」と回答したといいます。

Q. 駐在員の家族へ中国の実情を説明する場を設けているか

8〜9割 が「設けていない」と回答

※松本氏の講演での参加者への問いかけより(回答割合は概数)

松本氏は、企業の命令だけで一方的に赴任させるのが難しい時代だからこそ、家族に対して「何が、いつ危険なのか」を具体的に説明する場を設けた方が、駐在員本人・後任探しの両面で望ましいと述べています。

また、単身赴任という選択肢についても言及しています。

上海—東京間はドアtoドアで4時間程度と近く、単身で赴任する代わりに定期的な一時帰国の機会を確保し、家族と週末を過ごす時間を設ける、という方法もあるといいます。
他拠点との「公平感」への配慮も、役員社宅のような住居コストを見直し、その分を一時帰国の機会に充てるといった形で、赴任形態全体で捉え直す視点があると松本氏は提案しています。

📌 ポイント
家族への丁寧な説明と、単身赴任も含めた柔軟な赴任形態の検討が、駐在員本人・家族双方の安心につながります。

まとめ

反スパイ法や公安調査庁との接触、通信機器の扱いまで踏み込んでみると、注意点は細部にわたるように感じられるかもしれません。
しかし松本氏が繰り返し強調しているのは、「誰と、どのくらいの頻度で、どのような形で」接するかを意識してさえいれば、一般的なビジネス活動が過度に問題視されることはない、という点です。

松本氏は「本当に怖いところがゼロではないが、良い場所だと個人的には思っている」と述べ、過度に恐れず、楽しんで駐在生活を送ってほしいと締めくくっています。
実際、中国を離れる駐在員の多くが「もう少しいたかった」と話すのが実情だといいます。

反日感情や暴力事件、反スパイ法のニュースだけを見れば不安になるのは当然ですが、正しくリスクを理解し、身の安全と法務コンプライアンスの両面で具体的な備えをしておけば、中国駐在は過度に恐れる必要のない、むしろ良い経験になり得る駐在先だといえます。

最後に:さらに深く学ぶ

記事では紹介しきれなかった具体的な事例や、反スパイ法をめぐるより詳しい実務対応については、松本秀敏氏のセミナーアーカイブでご紹介しています。アーカイブでは、

・反日感情や暴力事件、反スパイ法への実務対応の考え方(本記事で解説した内容)
・パネルディスカッションでの、地図表記や契約交渉、労務契約など、より広い法務リスクへの対応
・参加者からの質疑応答でのより詳しいやり取り

など、記事では伝えきれなかった内容を、より具体的に解説しています。

👉 セミナーアーカイブを見る

現地の実情を正しく理解し、組織として実効性のある備えをしておくことは、駐在員本人だけでなく、送り出す企業側にとっても重要なテーマです。

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