海外赴任後なぜか成果が出ない本当の理由|駐在員に起こる心理の波
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目次
駐在先で、あなたが議長を務める会議。現地社員のBさんとCさんが、広告キャンペーンの文案を巡って激しい口論を始めました。飛び交う言葉は速く、争点もよく分からない。思わず笑顔で「Please stop fighting. Be calm」と割って入りたくなる――。
海外赴任を控えた方や、すでに現地でチームを率いている方の中には、こうした場面を前に「どう収めればいいのか」と戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。
「和を以て貴しとなす」を大切にしてきた日本人にとって、対立は避けるべき「摩擦」や「リスク」と捉えられがちです。
しかし、ソニーで約33年間勤務し、そのうち約22年間をサウジアラビア、カナダ、ロシア、ドイツ、ブラジルなどの海外拠点で過ごし、ソニーブラジル社長も務めた筒井隆司氏は、対立を恐れて避けるのではなく、業績を伸ばすための大きなチャンスとして活用する視点が必要だと指摘しています。
本記事では、筒井氏の講演内容をもとに、コンフリクト・マネジメントの基本から、対立を成果につなげる実践プロセス、本社や取引先との対立を解決したケーススタディまでを解説します。
📌 ポイント
対立は、ビジネスに対するエネルギーの証。避けたり力で抑えたりせず、ルールに則った議論で共通のゴールへ導けば、チームの結束と事業成長につながります。
コンフリクトとは、価値観の違いなどから意見が対立することを指します。
筒井氏は、コンフリクト・マネジメントを「対立をリスクとして避けるのではなく、『良い要素』に着目し、機会に転じる術」と説明しています。この術を身につけることで、現地の事業を成功・成長させ、売上や利益を伸ばすことに結びつけられるというのが筒井氏の考えです。
筒井氏はこの考え方を「従来の日本型マネジメントのアップデート」と位置づけています。海外特有の異文化・価値観のギャップを、マネジメントの仕組みそのものに組み込んでいく発想です。
ルールに則って議論すれば、コンフリクトはビジネスにプラスの効果を生むと述べ、その効果として次の点を挙げています。
・相違点を整理し、議論を通じて多様な価値観や潜在リスクをあぶりだせる
・違いに配慮しつつも、共通のゴールに向かって協力できる
・社員が主体的に関与すれば、チームの結束力や対応力が高まる
海外のオフィスは人種・国籍・文化的背景が非常に多様であり、筒井氏は「対立は日常茶飯事」だと語っています。
問題は、対立への向き合い方です。
対立を放置したり中途半端な判断をしたりすると、チームの分裂や、後の方針変更などの混乱の種になると、筒井氏は指摘しています。
大切なのは、まず意見にしっかり耳を傾け(傾聴)、何が対立の原因になっているのかを見極めることです。
筒井氏によれば、日本人は「和を以て貴しとなす」教育を受けており、人前で激しく議論して勝敗を競う経験が多くないといいます。
討論を通じて総意をまとめることが得意でない人が多いからこそ、対立を機会と捉えてマネジメントする力を意識的に身につける必要がある、というのが筒井氏の主張です。
📌 ポイント
多様な人材が集まる海外拠点では、対立は避けられません。放置せず、傾聴して原因を見極める力が駐在員に求められます。
ここで筒井氏が投げかけるのが、「対立を恐れないのであれば、対立よりもっと恐れるべきことは何か」という問いです。その答えとして筒井氏が挙げるのが、次のような状態です。
・同意なく従う(言われた通りにしか動かない、当事者意識の欠如)
・無関心
・無気力
・無責任
一見すると波風の立たない職場でも、こうした状態が広がっていれば、事業を伸ばすエネルギーは失われていくと考えられます。
筒井氏の言葉を借りれば、対立とはビジネスに真剣に取り組み、切磋琢磨して伸ばしたいというエネルギーの表れなのです。
特に、真面目で優秀な人材ほどエンゲージメント(仕事への自発的関与)が深く、課題への当事者意識や責任感から自分の意見を強く主張するため、対立に至ることが多いとされます。
相互理解や尊敬がなければ、議論は感情的な言い合いや押し付けになってしまいます。
一方で、お互いの理解や尊敬を土台に適切に導けば、対立は信頼関係を深める機会になると筒井氏は述べています。
📌 ポイント
対立は、メンバーが本気で仕事に向き合っているサイン。恐れるべきは、対立がなく「言われたことだけをやる」組織です。
では、実際に対立に直面したとき、マネージャーはどう振る舞ってしまいがちなのでしょうか。
筒井氏が挙げる、コンフリクトに遭遇したときによく見られる対応は次の4つです。
① 回避
よくある心の声
「これは今すぐには決断できないな…」
招きやすい影響
相互理解や改善の機会を失い、ビジネスチャンスを逃したり、致命的な対応の遅れを招いたりする
代わりに意識したいこと
早い段階で双方の意見に耳を傾け、対立の原因を見極める
② 業務命令による強制
よくある心の声
「私は社長である。君は従うべきである」
招きやすい影響
現地社員の士気が低下し、優秀な人材の離職リスクが高まる
代わりに意識したいこと
権限で押し付けず、双方の意見を引き出してから議論を導く
③ 妥協
よくある心の声
「もうこれでいいや…」
招きやすい影響
議論が煮詰まらないまま折衷し、修正点や結論、本質的な争点が曖昧になる
代わりに意識したいこと
相違点を書き出して整理し、目的に照らして議論を尽くす
④ 譲歩や受容を迫る
よくある心の声(部下側)
「あのボスに言われたことだけやればいいや…」
招きやすい影響
担当者が諦めて自ら考えなくなり、臨機応変に対応できなくなる
代わりに意識したいこと
社員が主体的に関与できる議論の場をつくる
📌 ポイント
回避・強制・妥協・譲歩の強要は、いずれも一時的に場を収めるだけ。対立のエネルギーを失い、現地社員の主体性を奪ってしまいます。
冒頭の場面に戻りましょう。
日本人駐在員のAさんが議長を務める会議で、現地社員のBさんとCさんが広告キャンペーンの文案を巡って激しく口論を始めました。Aさんはどう対応すべきでしょうか。
筒井氏はまず、「会議の参加者は誰も論争を望んではいない。
しかしキャンペーンの成功を求めれば求めるほど、自分が正しいと信じる意見を述べたくなる」と、対立が生まれる背景を示しています。
そのうえで、議長がやりがちな対応と適切な対応を、次のように整理できます。
| ✕ やりがちな例① | 言葉も争点もよく分からないので、収まるまで放置する → 筒井氏の評価:議長としての役割放棄 |
| ✕ やりがちな例② | 笑顔を絶やさず「Please stop fighting. Be calm」と言ってなだめる → 筒井氏の評価:論争する価値を認めない、問題の先送り |
| ✕ やりがちな例③ | 拙い表現でもよいので自分の意見を述べ、参加者に賛同を求める → 筒井氏の評価:議長の役割からの逸脱 |
| ○ 適切な対応 | BさんとCさん双方の意見の相違点を、予算・メッセージ・使用メディア・期間・クリエイティブなどの要件ごとに書き出し、より目的に叶う施策はどれかを、参加者を巻き込んで冷静に議論させる |
③は一見積極的に見えますが、筒井氏によると、議長が早い段階で自分の意見を言ってしまうと、BさんとCさんが「何のために議論していたのか」と失望しかねません。
議長に求められるのは、双方の意見をさらに引き出し、相違点・合意点・共通目標を確認したうえで、改めて参加者に意見を求めるアプローチです。
さらに、「選択肢の中に答えがあると決めてかかるのは注意」とも付け加えています。
目の前の選択肢から選ぶのではなく、議論の進め方そのものを設計する視点が大切です。
📌 ポイント
議長の役割は、意見を裁くことでも黙らせることでもありません。相違点を要件ごとに見える化し、目的に照らして議論させることです。
では、対立をどのような順序でマネジメントすればよいのでしょうか。
筒井氏が示すコンフリクト解決の基本プロセスは、次の7段階です。
段階を追ってマネジメントすることで、成功に近づくといいます。
| No. | ステップ | 駐在員が実践すること |
|---|---|---|
| 1 | 傾聴 | 双方の意見にしっかり耳を傾け、対立の原因を見極める |
| 2 | 相反する点を整理 | 対立要因を紙やホワイトボード、PCに書き出して共有し、論点を可視化する |
| 3 | 共通のゴールを示す | 会社としての共通目的を掲げ、多様な視点を取り入れながら結束力を高める |
| 4 | 選択肢を絞り込む | ディスカッション(ブレインストーミング)で案を出し合い、絞り込む |
| 5 | 秩序ある論争 | なだめすかすのではなく、一定のルールに従って議論する |
| 6 | 意思決定 | 議論を経て、どちらかの案を採択する |
| 7 | 実施 | 決定した施策を実行し、PDCAを回す |
このうち、特に判断が難しいのが「共通のゴールを示す」段階です。筒井氏が取り上げた2つの場面から、その考え方を見ていきます。
<ケース>
来年度の報酬制度の見直しを巡り、現地法人の社員を二分する論争が起きています。
会社側は、企業業績連動報酬と個人の成果報酬の割合を現在の1割から5割まで増やすべきと主張。
一方、労働組合は勤続年数を重視し、成果報酬の割合は15%以下程度に抑えたいと反論しています。
あなたが現地法人の社長なら、どう議論を展開すべきでしょうか。
| ✕ やりがちな例 | 第三者を使ってその国の報酬制度の変容を調査し、市場や同業他社と大きく乖離しない方向を模索する 経済合理性に基づく施策を人事系コンサルに提案させ、経営会議に諮る → 筒井氏の評価:間違いではないが、主体性に欠ける |
| ○ 適切な対応 | 自社がどういう企業理念で事業を行い、どういう企業文化を育みたいかに遡って、従業員を交えて議論を始める |
筒井氏は、報酬制度は企業経営の根幹を成す重要要素であり、企業のパーパス(存在意義)やバリュー(企業内で共有する価値観)に応じて報酬体系を選ぶべきだと説明しています。
売上高や収益性だけでなく、新しい技術やビジネス開発に挑戦しているか、チームとして助け合い持続可能な働き方をしているかなど、さまざまなパラメーターがあるため、社員の希望も反映しながら腰を据えて議論を継続する必要があると筒井氏は述べています。
理念に遡って従業員を巻き込むことが、エンゲージメントの向上にもつながるというのが筒井氏の考えです。
📌 ポイント
利害が真っ向からぶつかるときほど、「自社は何を大切にする会社か」まで視点を上げると、共通のゴールを設定しやすくなります。

<ケース>
現地法人で練り上げた来年度の販売計画に対し、本社から「販売計画は承認するが、広告予算は3割カットする」と通達がありました。
憤る現地社員に対し、駐在員はどう対応すべきでしょうか。
| ✕ やりがちな例① | 承認された販売計画を実施する中で、堅調な売上増を示しながら追加の広告予算を申請しようと現地社員を説得する → 筒井氏の評価:「日本人らしさ」の出た対応 |
| ✕ やりがちな例② | 厳しい財務事情を分かりやすく解説し、使える広告予算でできるだけ販売計画に近い売上を達成するよう説得する → 筒井氏の評価:最初から販売目標にコミットしていない |
| ○ 適切な対応 | 単年度の予算だけでなく、中長期で売上・利益増を実現する計画を練り直し、再度本社に交渉機会を求める |
本社の計画単位は、必ずしも各市場の発達段階とシンクロナイズしない――筒井氏はこう指摘します。
販路の開拓途上にある市場では、一定の量が売れるようになるまで投資期間が必要です。
逆に成熟市場では、広告予算を増やしても市場がすでに飽和している場合もあります。
本社に計画を認めさせるには、違った角度から説得材料を準備して食らい付くことが大切であり、その姿勢が現地スタッフの目には頼もしく映ると筒井氏は述べています。
駐在員には、現地と本社の架け橋としてしかるべきコミットメントを果たす役割があるというのが筒井氏の考えです。
📌 ポイント
一度断られても諦めて現地を説得する側に回らない。中長期の視点で本社と再交渉する姿勢が、現地社員の信頼につながります。
7段階のプロセスの中で、日本人にとって最もなじみが薄いのが「秩序ある論争」かもしれません。
筒井氏の説明では、欧米には高校や大学でディベートを習得し、確立されたルールの中で議論を尽くす文化があります。
法廷裁判や大統領選挙のディベートのように、秩序ある論争には確立された手法が存在します。
一方、日本でも大学のESSなどでディベートを学べるものの、一般的にはその機会が少ないと筒井氏は指摘しています。
筒井氏が紹介したディベートでは、「○○は△△すべきである」というテーマに対して賛成派・反対派・審判団に分かれ、開始時までどちらの立場で討論するのか分かりません。
そのため参加者は、多様な意見をそれぞれ考えて学ぶことになります。
筒井氏が示す、ビジネスの場での秩序ある論争の進め方は次の8つのステップです。
| No. | ステップ | 進め方 |
|---|---|---|
| 1 | 論点整理 | 対立軸を明確にする |
| 2 | 最終目的の共有 | 討論の目的を司会者が明示する |
| 3 | 立論 | 主張を簡潔に説明する |
| 4 | 反論 | 異なる価値観・意見を示す |
| 5 | 質疑応答 | 目的合理性(関連性、実現性、効果)を検証する |
| 6 | 反駁 | 相手の意見に対して反論・反証・批判を行う |
| 7 | 解決策の審査 | 投資金額、人員、期間、方法、成功を評価するKPIなど、さまざまな観点から実現性・実効性を検証する |
| 8 | 裁決 | どちらかの意見を採択する |
ただし、論争で勝敗を決めて終わりではありません。
筒井氏が最も重要だと強調するのは、ディベートの先にある「ダイアログ(対話)」です。
個々の意見や主張(Opinion)を出し合い、多様な意見を尊重しながらディスカッションで案を絞り(Discussion)、討論によって選択し(Debate)、意思決定の後は達成に向けて協議する(Dialogue)。これが、筒井氏の示す流れです。
筒井氏によると、意思決定の後は、採用されなかった反対意見の人々とも対話を持ち、「採用された案の弱点を補強する役割」などを与えることが大切です。
反対派だった人々も巻き込み、ワンチームとなって完成度を高めていく作業が不可欠だと筒井氏は説明しています。
📌 ポイント
論争で勝敗を決めて終わりにしない。反対派に「弱点を補強する役割」を任せ、全員で案を磨き上げることで、対立はチームの力に変わります。
筒井氏は、駐在員によくある悩みとして、本社と現地の認識のズレを挙げています。
本社側の過度な管理思考と、現地の事情を主張する現場との間で、予算・投資、組織・人事、広告宣伝、市場環境、苦情対応、調達問題などを巡って認識がずれると、的外れな指示や不信感が生まれやすくなります。
ここでは、筒井氏が紹介した2つのケースを見ていきます。
現地法人では、物流本部長を担える現地人材を育成してきました。
ところが本社は「そのポジションに駐在員を送ります」と決定し、若い赴任者を派遣することに。
「昇格の機会が台無しに」と憤る現地社員や労働組合は猛反発し、次のように声を上げました。
駐在員が本社と現場の板挟みになる典型的なケースです。
筒井氏が示した解決に向けた協議のポイントは、次のとおりです。
・物流全体を俯瞰して課題を整理する
・本社との報連相を確認する
・グローバル物流との調整を行う
・業務を機能別に分解し、精査する
・業務負荷や適性を精査する
その結論として、完成品物流の現場を監督する「本部長」と、輸入部品や国際物流チームとの交渉を担う「企画部長」に役割を分け、赴任者は3年程度、企画部長として物流改革を担う形に整理しました。
筒井氏は物流改革のテーマとして、新規投資、経費管理、安全教育、他社との混載の交渉、修理品や資源リサイクルに向けた静脈物流の開発を挙げています。
こうした協議の場面で使える英語表現として、筒井氏は次のフレーズを紹介しています。
| 選択と集中 | When we prioritize and focus on the elements of the function, there would be … |
| 業務分担 | Segregation of duty among 2 experts would perfectly meet the requirement. |
| 重要なポジション | The appointment of critical position … |
📌 ポイント
「本社か現地か」の二者択一にせず、業務を機能別に分解すれば、双方が納得できる役割分担の道が見えてきます。
メーカー間の競争が熾烈になりやすい製品では、1社が急に値下げすると、その市場価格帯が変動します。筒井氏が紹介したのは、高圧的な取引先と交渉せざるを得なくなったケースです。
1.メーカーが新モデルを量販店Aで先行販売したところ、競合の量販店Bが旧モデルの半額セールを開始
2.量販店Aでは「沢山入れたのに全然売れない!!!」と、新モデルの在庫が滞留
3.量販店Aは高額なプロモーションを独断で実施し、その費用をメーカーに請求
4.メーカーが「勝手に実施したものに対して保証できません」と応じると、量販店Aは「You are done!(出入り禁止!)」と取引停止を宣告
こうならないために準備すべきものとして筒井氏が挙げるのが、Trade Agreement や Commercial Conditions(さまざまな事態を想定して合意事項をまとめた契約)です。
そのうえで、「売上増・収益確保」を共通のゴールに置き、課題を精査して次のような解決策を示しています。
・販売計画のレジリエンス(困難な状況や危機を乗り越え、迅速に回復し柔軟に適応する力)を再検証する
・在庫の動きや仕入れ値に対する調整を行う
・販促の事前合意ルールを明文化する
・柔軟な協議に加えて、新たな収益源を提示する
・適正な在庫水準を自動計算し、実売情報に基づく補給型配送(Just In Time)へ転換
・商品の仕向地の共通化、最低発注数の小口化
・製品のリースサービス(PaaS契約)、延長保証・周辺機器とのパッケージ販売
あわせて、在庫を巡る交渉で役立つ英語表現として、次の用語も紹介しています。
| 英語表現 | 意味 |
|---|---|
| inventory adjustment | 値下げ支援のための在庫の価格調整 |
| dead inventory | 不良在庫 |
| moving average cost | 平均単価 |
| fast / slow moving inventory | 売れ筋 / 不振商品 |
| inventory on the water | 搬送中の在庫 |
| bonded inventory | 保税在庫 |
| inventory at hand | メーカーの在庫 |
| trade inventory | 販売店の在庫 |
📌 ポイント
高圧的な取引先との対立も、「売上増・収益確保」という共通のゴールに立ち返れば、事前ルールの明文化や新たな収益源の提案につなげられます。
一方で一方で、コンフリクト・マネジメントには適用の限界があることにも、筒井氏は触れています。
筒井氏が「向かないもの」として挙げているのは、次のようなテーマです。
・信仰・政治信条・倫理観・異なる歴史認識など、根本的な価値観に関わる問題(議論による共通ゴールの設定が難しい)
・専門家の支援が必要な法的争議
・非当事者、利害関係のない者からの批評(コンフリクト・マネジメントの要件を満たさない)
📌 ポイント
対立に向き合う前に、議論によって共通のゴールを設定できるテーマかどうかを見極めることが大切です。
本記事で解説したポイントを振り返ります。
・コンフリクトは、多様性と深いエンゲージメントの証。適切にマネージすればビジネスにプラスになる
・回避・強制・妥協・譲歩の強要ではなく、傾聴→相反する点の整理→共通のゴール→選択肢の絞り込み→秩序ある論争→意思決定→実施、と段階を追う
・利害が真っ向からぶつかるときは、企業理念まで視点を上げて共通のゴールを設定する
・本社との板挟みでは、現地と本社の架け橋として中長期の視点で再交渉する
・論争の後はダイアログで反対派も巻き込み、ワンチームで案の完成度を高める
筒井氏は、日本人駐在員はコンフリクト・マネジメントが苦手だと言われてきたものの、習得すればリーダーとしてさらに尊敬されると述べています。
そして、そのために最も大切な心構えとして、筒井氏が挙げるのが次の言葉です。
冒頭の会議の場面で求められるのも、どちらかの肩を持つことでも、場を黙らせることでもありません。
双方の意見を公平に引き出し、共通の目的に向けて議論を導く姿勢こそが、海外の現場で信頼されるリーダーの条件といえるでしょう。
本記事では、筒井隆司氏のセミナー「海外赴任成功の新常識『コンフリクト・マネジメント2.0』」の内容をもとに、海外赴任先での対立を事業成長のチャンスに変えるための考え方と実践プロセスを解説しました。
セミナーアーカイブでは、記事では紹介しきれなかった内容も詳しく紹介しています。
・「秩序ある論争」の各ステップで使える英語キーワード(Disputing points、Common objectives、Inherency、Practicality、Workability など)
・コンフリクト・マネジメントができるグローバルリーダー人財の育て方(選抜とプール形成、資質と変革の志、最重要要件「謙虚さ」)
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