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2023.08.03

異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ 」を解説《タイ編》

 

グローバル事業成功のカギとなる異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“タイ”をピックアップ!

タイビジネスのプロフェッショナルが指標毎に解説します。

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カルチャーマップとは

カルチャーマップとは何か

カルチャーマップとは、エリン・メイヤー氏が世界有数のビジネススクール INSEADで教授を務める中で、同校のプログラム参加者である世界各地から集まったエグゼクティブから得た情報を検証し作成された、マネージャーが自覚しておくべき8つの指標において、67カ国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。

カルチャーマップの8つの指標

01:コミュニケーション
・他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
⇒明確な物言いを好む文化=ローコンテクスト
含みのある物言いを好む文化=ハイコンテクスト

02:評価
・否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか

03:リード
・権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるか
⇒敬意・服従の強い文化=階層主義的、弱い文化=平等主義的

04:決断
・意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するか
⇒合意を重視する文化=合意志向、個人で決断をする文化=トップダウン

05:信頼
・信頼形成にあたり、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するか

06:見解の相違
・意見の対立を是とするか、非とするか

07:スケジューリング
・スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
⇒スケジュール遵守=直線的な時間、状況に合わせる=柔軟な時間

08:説得
・他者を説得する際、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すか

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「国別カルチャーマップ タイ編」

資料概要

グローバルビジネスにおいて企業から多くよせられる相談のひとつに、「相⼿国の⽂化の理解がマネジメントのネックになっている」というものがあります。

グローバル環境で成果をあげていくためには、異⽂化を理解するための指標を持ち、その背景や要因を紐解いて柔軟に対応していく⼒を⾝につけておく必要があります。

インサイトアカデミーでは、独自にプロッティングした65か国の中から、この度“タイ”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量 / 定性の両面から分析し、タイビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んだ「国別カルチャーマップ タイ編」をリリースいたしました。

日本との違いをより詳しく学ぶことで、どのような行動をとればよいのかのヒントが見つかるはずですので、タイでビジネス展開をされている企業様はもちろん、仕事上でタイの方とコミュニケーションをとる方など、タイビジネスに携わるすべての方におすすめの資料です。

「国別カルチャーマップ タイ編」資料ダウンロードはこちらから 

資料目次

1.カルチャーマップとは
1-A エリンメイヤーとカルチャーマップ
1-B カルチャーマップ8つの指標

2. カルチャーマップ –タイ-
2-A コミュニケーション★
2-B 評価★
2-C リード
2-D 決断
2-E 信頼
2-F 見解の相違
2-G スケジューリング★
2-H 説得
2-I 日本&タイ文化特性比較

本記事では、上記項目の「★」印のプロフェッショナル講師による解説を公開します。

プロフェッショナル講師による「カルチャーマップ タイ」の解説

講師紹介

山下 雅史
元 タイ富士ゼロックス副社長

1974年、富士ゼロックス株式会社入社。名古屋支店長、本社商品推進部長などを歴任。
2003年、元タイ富士ゼロックス株式会社代表取締役副社長。
2007年「日タイ・ロングステイ・ネットワーク」を設立し、タイ国政府観光庁から後援を頂き、タイ国での日本人シニアのロングステイの啓蒙と普及の為の活動を開始。
2013年屋号を「日タイ・ロングステイ&ビジネス・ネットワーク」に変更。
日系企業向けのタイ赴任前講師及びタイ国進出サポート活動にシフト。延べ1,500人以上の受講実績を持つ。

コミュニケーション

他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか

▼ロ-コンテクスト
1.良いコミュニケーション=厳密・シンプル・明確
2.メッセージは額面通りに伝え、受け取る
3.コミュニケーション明確化のため、繰り返しも歓迎

▼ハイコンテクスト
1.良いコミュニケーション=繊細・含みがある・多層的
2.メッセージは行間で伝え、行間で受け取る
3.ほのめかしも多く、はっきりと口にすることが少ない

◎プロフェッショナル講師の解説
タイは隣国と陸続きのため争いの歴史も長く、多民族で国を形成しているため、他人との争いや摩擦を避ける傾向があります。
そのため、会議でもハッキリした自己主張はせず、相手の立場や心情を察し発言するという意味ではタイ人も「ハイコンテクスト文化」に分類出来ます。
企業内においてもより良いコミュニケーション作りのためには、お互いに主張し合い切磋琢磨するより、気心が知れた家族のような和気あいあいのチーム作りを目指します。
ただ、日本人のように「阿吽の呼吸」で理解し合うことや、曖昧な表現で含みを持たす言い方はしません。
一方、タイ人は相手を気遣うと同時に、控えめで遠慮がちに本意とは違う発言をすることもあり、日本人にはタイ人の本音が理解できないことがあります。

評価

否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか

▼否定的なフィードバックを直接的に伝える
1.否定的なフィードバックは率直・単刀直入・正直に
2.否定的なフィードバックを肯定的なフィードバックで和らげることはしない
3.「間違いなく不適切だ」「全く以ってプロフェッショナルではない」といった断定的な表現が用いられる
4.批判はグループの前で個人に対し行われることもある

▼否定的なフィードバックを遠回しに伝える
1.否定的なフィードバックは柔らかく・さりげなく・やんわりと
2.肯定的なメッセージで否定的なメッセージを包み込む
3.「やや不適切だ」「少しプロフェッショナルではない」といった婉曲な表現が用いられる
4.批判は1対1でのみ行われる

◎プロフェッショナル講師の解説
タイ人は意外とプライドが高く、また面子も意識するため、人前で否定されることを嫌います。
また、心もナイーブな人が多いため、厳しい伝え方をすると退社してしまうスタッフもいます。
そのため、相手の心が折れてしまわないように気遣い、厳しい評価をストレートに伝えることを避けます。
企業における部下の業績評価なども、部下との友好関係を保ちたいとの意識が先行して、全員にA評価を付けたり、他部門のスタッフより自分の部下に高い評価を付ける傾向があります。
日本人も「ダメ出し」をする場合、曖昧な表現を使うことがありますが、タイ人は褒められたのか叱られたのか分からない場合があるようです。
ビジネスにおいてはYesかNoかはハッキリ伝えた方が良いようです。

スケジューリング

スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか

▼直線的な時間
1.プロジェクトは連続的なもので、工程が一つずつ順番に進み、邪魔が入ることは想定されていない
2.締め切り、スケジュール通りに進むことが重要視される
3.組織性や迅速さに価値が置かれる

▼柔軟な時間
1.プロジェクトは流動的なもので、場当たり的、同時進行で複数の作業が進められ、邪魔が入ることも受容される
2.順応性と柔軟性に価値が置かれる

◎プロフェッショナル講師の解説
タイと日本の国民性の違いには気候・風土が大きく関係しています。
日本はハッキリした四季があり、越冬準備など身支度をする必要から納期厳守に対する考えが訓練されてきました。
また、地震・台風など自然災害もあり常に危機意識を持っています。
タイは一年中温暖な気候で3つの季節はあるものの特別な準備は不要です。自然災害も洪水くらいで危機意識をもつ必要もありません。
そのため日本人は年間など少し先のスケジュールを立てますが、タイ人は”今”や”今日”を考えあまり先までスケジュールを立てることが苦手です。
また、スケジューリングしても親や家族とのイベントを優先せざるを得ないケースが多く、先の事を約束しても守れないというタイ人もいます。

資料ダウンロード

「国別カルチャーマップ タイ編」ダウンロード

異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“タイ”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量/定性の両面から分析し、タイビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んでいます。

ぜひ貴社のタイビジネスにおける異文化マネジメントにご活用ください。

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「カルチャーマップ」の関連講座《INSIGHT ACADEMY》

異文化理解概論

講師:岡田 昭人氏
東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
オックスフォード大学教育学博士

世界で結果を出すためには「日本人なら当然と考える価値観や思考習慣が、世界ではそのまま適用されない」という事実に気づくことが第一歩です。
本講座では、多角的な切り口で異文化を理解するために、異文化理解の指標や概念を学びます。
異文化を理解するためには、カルチャーアイスバーグを認識し、自文化と異なる文化との「比較の物差し」を持つことが重要です。
「比較の物差し」の一つとして、「カルチャーマップ」を活用することが効果的です。
その上で、自国の基準で評価するのではなく、対象国の価値観や思考習慣との違い(異文化)、その裏にある背景を捉えようとする姿勢を身に付けます。

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