外国人材が長く働きたい会社とは?企業に求められる環境づくりと制度の活用
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三井化学では、経営計画に連動した人材戦略を掲げており、2021年に策定した長期経営計画「VISION2030」においては、人材に関する5つの主要課題を特定し、明確化しています。
本記事ではその5つの主要課題の中でも、特に優先課題とされている「グループグローバル経営強化」「グローバル含めた従業員エンゲージメント向上」について、具体的に紹介していきます。
東京都 : 1955年設立
製造業 : ライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICT、ベーシック&グリーンマテリアルズ等の素材製造、ソリューション事業展開
①ビジネスモデル転換を伴う経営計画と連動し、人材戦略を体系的に明確化している。具体的な方策までを社外に開示している。
②全社戦略上重要な経営ポジションを定め、将来の経営を支える「経営者候補」及び「キータレント」を特定し、後継者候補として選抜している。候補者にはグローバルな異動・チャレンジを意図的に付与している。グループ・グローバルで統合的な人材プラットフォームの整備も進めている。
③グローバル規模でエンゲージメント状況を把握し、明らかになった課題(社員の学習、経営陣との対話)に即時対応している。同時に強みとすべき文化を特定し、浸透を図っている。
◎経営計画と連動した人材戦略の策定
同社は、経営計画に連動した人材戦略を2016年に初めて策定した。その際、当時の経営計画(VISION2025)を踏まえ、人材に関する5つの主要課題を特定した。
2021年、新経営計画「VISION2030」の策定を踏まえ、5つの主要課題から「人材の獲得・育成・リテンション」「従業員エンゲージメント向上」「グループグローバル経営強化」の3つを優先課題として特定した。各優先課題の解消に向け、実行すべき方策を明確化し、開示している。
◎ポジションマネジメント:職務・ミッションを起点とした、戦略重要ポジションの特定
全社戦略遂行上重要な「戦略重要ポジション」や、戦略的な育成を目的とした「育成ポジション」を全社人材育成委員会で認定している。
グループ・グローバルで100程度の戦略重要・育成ポジションを定め、職務や経営戦略上のミッションを定義し、職務、ミッションにフィットする人材を社内外から登用している。
◎戦略的タレントマネジメント:「経営者候補」や「キータレント」の特定・評価・育成
人材育成委員会で特定した「キータレント」に対して、個別育成計画を策定している。
育成の方向性を、議論した上で、必要なアサインメントを5つの視点でレビュー(経営的視野、事業再構築、新事業開発、全社横断プロジェクト、海外法人運営)し、「戦略重要ポジション」や「育成ポジション」への登用を行っている。
「戦略重要ポジション」については、後継者準備率をKPIに設定し、後継者計画の実効性を評価し、配置進捗と併せ取締役会へ報告している。
◎グローバルで社員のコンディションを経年で定量的に把握 各社・組織の経営陣・人事部門がケア
グローバルで社員エンゲージメント調査を実施し、組織としての強みや課題を特定し、グローバルでの改善施策の実行につなげている。
<特定された強み・課題と改善施策の例>
【強み】安全文化、権限移譲/自律性の尊重
【課題】社員の学習及び自己開発、経営陣との対話
【改善施策の例】「ラーニングプラットフォーム」・「社長ラウンドテーブル」の導入
長期経営計画VISION2030策定を踏まえ、「事業ポートフォリオ変革の追求」などの基本戦略を実現していくためには、中長期的な事業成長の方向性や経営基盤の在り方を理解し、将来必要となる組織・ポジション要件を想定した上で、既存の内部人的資本との差異を分析・特定することが必要です。組織・人材に影響を与え得る内外環境変化をスピーディーに捉えるために、引き続き経営戦略策定・推進メンバーとして、経営戦略の変化をAgileに人材戦略に連動させ、効果的な施策の具現化を加速させます。
今後は、多様性に富む、将来の経営者候補のみならず、多様なポテンシャルを持ったグループ全社員一人ひとりが、自律的なキャリア形成を行うための包摂的タレントマネジメントを加速させつつ、また、グループ全社員の更なるエンゲージメント向上を目指し、個の力を最大限引き出すことで、自主・自立・協働を体現する「挑戦し続ける組織」に自らを変革し続けていきたいと考えています。
(安藤嘉規氏/三井化学株式会社 専務執行役員)
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