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タイ駐在トレーニーが語る「現地で企業理念を浸透させる力」:グローバル人材に必要な視座とは

紹介

海外派遣された若手社員が、異文化の中でどのように企業文化を伝え、現地組織に価値をもたらしていくのか——これはグローバル人材育成に携わる担当者にとって重要なテーマです。

サントリーのトレーニー制度は、海外拠点で1年間の実地経験を積みながら、グローバルに活躍する人材の育成を目的とした施策です。

異文化への適応と自社文化の浸透を並行して担う経験は、次世代リーダーの形成において大きな意味を持ちます。

本記事では、タイで挑戦を続けるグローバル人財戦略部の小椋光平氏のインタビューをご紹介します。

ポイント

役割を自ら形づくる現地での挑戦

タイの現地法人でのトレーニー経験では、最初から明確な担当業務が与えられているわけではなく、自ら課題を見つけ役割をつくっていく必要があるります。
研修生という立場もあり最初から明確な担当業務が決まっているわけではなく、自分から仕事を探しにいかなければならなかったと語られています。

日本からの駐在員や現地社員がいる環境で、自身の立ち位置を築くことは容易ではなかったものの、その過程こそが挑戦の醍醐味でした。

小椋氏のような日本人駐在員と現地社員が混在する組織で、自分の立ち位置を模索しながら価値を発揮していくプロセスは、海外環境に特有の学びにつながります。

価値観を“翻訳”し現地に根づかせる力

現地では業務遂行に加え、サントリーの企業理念や行動規範をタイのメンバーにも共有する役割を担っていました。

サントリー食品インターナショナルには、「Always Together with Seikatsusha(生活者と、ともに)」という理念があります。
「Seikatsusha(生活者)」という理念や「Yatte Minahare(やってみなはれ)」という言葉は、ほとんどの現地社員が理解していてそのまま通じるくらいに浸透しています。

異なる価値観の中で自社理念を丁寧に“翻訳”し、日々の仕事に落とし込む取り組みは、グローバル組織における文化浸透の実践例として参考になります。
これは海外で働く人材の重要な力のひとつといえます。

日本の経験を相対化し視座を高める成長

タイ駐在を通じ、小椋氏は日本市場や自社の強みを客観的に捉えられるようになったと語ります。

市場の成長速度が思っていたよりも緩やかで、高齢化が進む状況が日本と似ていること、健康食品分野ではスティックゼリーや燕の巣ドリンクなど新しいフォーマットが伸びていることから、現地の健康意識の高まりを実感しました。

成熟度や消費者行動が異なる市場に触れることで、日本で当たり前と考えていた価値基準の再整理が進みます。
また、誕生日を盛大に祝うといった文化の違いも、価値観の視野を広げるきっかけになったとのことでした。
こうした経験が、日本で得た視点を相対的に見直す機会につながっていると語られています。

この“相対化の経験”こそ海外派遣の最大のリターンです。
単なる語学や経験の蓄積ではなく、「国内外の市場を俯瞰し戦略的に判断できる思考筋力」を育てることが、将来のグローバル経営人材の基盤になります。
組織は派遣後の内省機会の設計や知見還元の仕組みを整えることで、この成長をさらに強固にできるといえるでしょう。

概要

配信元:suntorian voice

公開日:2025/11/10

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