外国人材が長く働きたい会社とは?企業に求められる環境づくりと制度の活用
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カゴメ株式会社は、「世界の人々の期待に応えるグローバルブランドへと飛躍していく」というビジョン達成のため、グローバル人事制度を段階的に社内に導入しました。
まずは第1段階「インフラづくり」として、世界共通のグローバル・ジョブ・グレードを社内に導入し、役員の評価制度や管理者層の報酬制度など、グローバル人事制度のハード面を構築しました。
そして基盤整備後に、現在は第2段階「人づくり」として、タレントマネジメントを活用し、グローバル人材の見える化を採用や育成プログラムの強化等ソフト面の拡充を進めています。
本記事では、カゴメのグローバル人事制度について、導入フェーズごとに詳細を紹介します。
創業:1899 年
連結売上高:195,619 百万円(2015 年度)
連結従業員数:2,569 名(2015 年 12 月 31 日現在)
監査等委員会設置会社
同社は、2013 年度からスタートした 3 ヶ年の中期経営計画『Next 50』において、世界の人々の期待に応えるグローバルブランドへと飛躍していくというビジョンを掲げた。
この実現に向けて、2013 年 4 月から、グローバル人事施策の第1ステージとして、ジョブ・グレードや評価基準の統一、コア人材のサクセッションプランの策定、グローバル教育体制の構築など、グローバル化を推進するための基盤づくりを進めた。
グローバル人事制度導入のプロジェクトを進めるにあたり、第1ステージの初年度は、「上から変わるとともに、外(海外)へも同時に導入」することをポイントに、まず、役員評価・報酬制度を構築するとともに、役員・部長を対象にしたグローバル・ジョブ・グレードを日本・米国・欧州・豪州に導入。また、役員への職務記述書の導入や、部長評価報酬制度の改訂など、役員人事制度の構築を行った。
そして、2014 年からは、グローバル報酬制度の構築、報酬委員会の実働化、課長の評価報酬制度の構築、キーポジションの選定、サクセッションプランの導入など、グローバル人事制度のハードの部分の構築を行った。
2016 年からは、グローバル人事制度導入の第2ステージとして、経営ビジョンの実現のために、「どのような質の人材が、いつまでに、どの地域に、どれだけ必要なのか」についての見極めをするとともに、分野ごとの戦略分析をより詳細に行うためのグローバル人材の「見える化」の実現や、「スキルマップ」をグローバルベースに作成し、必要なときに必要な人材を供給できる仕組みを確立。
グローバル人事制度の運用の仕組みの開発・充実の一環として、アセスメントツールや教育パッケージの開発、採用の仕組みの強化、コーポレート・ユニバーシティや次世代後継者育成等のプログラム開発など、ソフトの部分の拡充を進めている。
同社のグローバル人事制度の全体像を示すと下の図のとおりとなる。
上述のグローバル人事制度に関する施策の基盤となるものが、グローバル・ジョブ・グレードである。
同社では 2015 年度に管理職人事制度を改訂。各ポジションごとのミッション・アカウンタビリティと処遇の関係性の可視化、社員の納得感の醸成とモチベーションの向上、ダイバーシティ対応力の強化、グローバル・グループでの適材適所の実現に向けて、「年功型」から「職務型」等級制度に移行するとともに、より業績・評価と連動した報酬制度への改革、メリハリをつけた明確な処遇の実現をポイントとして人事制度の改訂を行った。
仕事の成果・価値が明確になり、健全な競争意識のもとで抜擢人事が進むことで、組織と個人の成果最大化と、グローバルに勝てる事業推進体制の構築を目指したものである。
ジョブ・グレードの対象範囲は、総合職コースの管理職層と海外(欧米豪)子会社となっている。
①知識・経験、②問題解決、③達成責任(アカウンタビリティ)の 3 要素のもと、実務的・専門的ノウハウの幅と深さや、経営管理体制内での責任領域の広さ、直面する問題の難易度、期待成果の大きさなどの8項目の評価指標をもとに「職務の大きさ(ジョブ・サイズ)」を算出し、各ポジションをグローバル・ジョブ・グレードの中で格付けしている。
グレード管理に関して、タレントマネジメントの面では、一定のグレード以上は本社で人材情報を把握し、ローテーションや教育など各種人事施策の対象としている。それ以下のグレードについては、各国・地域ごとの管理とし、各国人事が人材情報を把握して、現地事情に合った形で適切な人事施策を実施することとなっている。
同様に、処遇面においても、一定以上のグレードは本社人事が処遇を決定、それ以下のグレードは各国人事が処
遇を決定している。このように、共通グレードの導入が、グローバルな処遇や育成・登用の基盤となっている。
先述のとおり、同社では、2013 年からグローバル人事制度の構築に取り組み、ジョブ・グレードや評価・報酬制度等の「インフラづくり」を進めてきたが、現在は、本来の目的である「人づくり」のフェーズに進みつつある。
過去の評価情報と職務経験を記録化し、多面評価・アセスメント等におる後継候補者の育成と継続的モニタリングによるサクセッション・マネジメントや、新たなポジションでも成果をあげられるよう、リーダー育成研修やコーチングなどのプログラムを本格実施していく。
サクセッション・マネジメントについては、キーポジションを選定し、それぞれの後継状況を可視化するとともに、人材要件を明確化し、望ましい経験・キャリアパスの可視化と、現有人材の可視化を行い、ポジションと人材情報の可視化を行う。そして、それらの情報をもとに、人材委員会、報酬・指名委員会において議論をし、人材育成・登用について意思決定を行う。
そのうえで、役員や役員候補の育成・トレーニングを行い、それらの情報を蓄積していく。
サクセッション・マネジメントとして、これらのプロセスを回していくことにより、適切な人材を登用する仕組みの構築を目指している。
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