外国人材が長く働きたい会社とは?企業に求められる環境づくりと制度の活用
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海外売上高比率の企業や
グローバル人材育成に積極的な企業の事例をご紹介
株式会社クラレでは、管理者層に対しグローバル・グレードを適用し、世界共通の業績評価、及び共通コンピテンシーを導入しました。
従来は海外事業部が、地域(国)別に人事業務を実施していましたが、人事部においてもグローバルでの人材把握・発掘が可能となったことから、「グローバル共通の人材データベース」を運用開始し、グローバルでの人材マネジメントの基盤整備に成功しています。
本記事では、海外でトップシェアを誇る商品を多く取り扱うクラレにおいて、人事部が中心となって「グローバルグレード」の導入に取り組んだ事例を紹介します。
業種:化学
売上:5,184 億円(連結 / 2017 年 12 月時点)
従業員:連結 9,089 人 / 単体 3,832 人(2017 年 12 月時点)
資本タイプ:日系
・事業のグローバル化の進展・海外比率の高まりを受け、今後の事業拡大に向けたグローバルでの経営基盤整備が中長期課題の一つに
・個社(地域)最適からグローバルでの経営資源最適化を実現する人材マネジメント基盤の整備が求められ、検討を経て、グローバルグレードの導入に至った
・なお、海外での M&A が、グローバルでの制度共通化の流れを後押しする一つの契機ともなった
・ 管理職層にグローバルグレード(各国等級制度の読み替えによる)を導入。従来から役割基軸での管理を行っていたことで、役割に基づく格付けの導入は比較的円滑に進む素地があった
・また、事業のグローバル化の進展や、これまでのグローバル人材育成の取組み等が奏功し、「グローバルに通用する仕組み」に対し前向きな考え方を持つ人材が多かった
・グローバルでの事業目標のアラインメントをねらいとして、同じく管理職層にグローバル共通評価制度も導入済み
・グローバルでの人材把握・発掘や報酬水準検証に活用
・グローバル共通評価制度の運用を通じて、「事業目標」をグローバル全体で達成しようという意識が現場に醸成されてきている
・報酬ポリシー策定、報酬ガバナンスは課題の一つ
・ 人材データベースを活用して、人材レビューや後継者育成計画にも力を入れたい
・ 今後もさらにグローバル共通施策を実行していくには、海外拠点の関係者への早い情報共有と巻き込みが不可欠と認識
・「世界シェアナンバーワン」や「世界オンリーワン」の製品が多く、事業軸での運営が基礎、ただし地理的広がりは事業個別性もあり、海外は国別に一国一社の組織体制となっていた
・ 海外売上高比率は 2013 年には 50%を超え(現在は 70%近い)、グローバルでの経営基盤の整備が中長期課題の一つとして掲げられた
・これまでの人事部は国内のみの労務管理業務が中心で、駐在員管理を含む海外の人材マネジメント関連業務は海外事業統括部が行っていた
・新たに人事部内にグローバル人事グループが設立され、グローバル共通化施策(グレードや評価)の検討が始まった
・当該 M&A により、該当事業部門においては、グローバル一体的な事業運営を企図し、従来の国別の組織体制ではなく地理的ロケーションに依らないグローバル横断的な組織体制を構築
・これが全社のグローバル共通化施策の流れを後押しした
・ 国内管理職には役割基軸の制度を既に導入しており、受け入れやすかった
・ 人事としてポジション管理を厳格に行ってきており、職能制度で起きがちな「昇格インフレ」を抑えるための仕組みが機能していた
・旧来の人事部の業務範囲が国内に限定されていたことから施策への不安が強く、人事部内で理解を得るのには時間を要した
・ただし全社的には上述の事業状況等を背景に、「日本のやり方を広めろ」と主張する人は皆無で「グローバルに通用する仕組みに合わせよう」と柔軟に考えてもらえた
・また、2007 年から日本人・外国人混在で続けたグローバル人材育成プログラムも奏功。現在では当該プログラムの卒業生は 300 人以上にのぼり、グローバル共通化に理解を示す人材が、施策を後押ししてくれた
・2016 年にコンピテンシーの共通化を実現
・ 2017 年には、共通業績評価・人材レビュー制度も導入
・対象は「管理職およびこれに準じる社員」とし、管理職等級を 5 段階に整備
・ 人事コンサルティング会社の職務評価結果をベースに、本社および海外各社の制度における等級定義や等級別人員分布をもとに「読み替え」を行った
・ 狙いは、事業目標をグローバル全体で連鎖させること。地域別組織体制下では、各国の現地法人に権限があり、グローバルでの事業目標や優先順位に沿った業務遂行を推進しにくい面があった
・年度別の目標管理とコンピテンシーベースの行動評価(5 段階)で構成
・ なお、年 1 回のパフォーマンスレビューだけでなく、グローバルでの人材発掘・活用を企図したディベロプメント・レビューも実施
・従来、事業側だけでしか把握できていなかったキーポジションや人材ポートフォリオが、全社/人事部からもよく見えるようになった
・評価母集団の形成や研修対象者の選定に共通グレードを活用
・ コンサルティング会社の指標やデータを用いて、各グレードに対する各国市場の報酬水準の検証を行っている
・「事業」を軸とした評価により、事業部長を中心としたグローバルな事業運営へと意識が変わってきている (「地域」軸中心だった頃は、事業目標や方針に対し各国リーダーから抵抗を受けるなど、グローバル最適での事業運営がしにくい面もあった)
・日本人の海外駐在員は百人規模でいるが、三国間異動はまだ 5-6 人程度
・ 「地域単位」から「事業単位」へ組織の重心を移したことで、所属する国・地域を超えた三国間の異動が生じやすい環境になってきた
・ 報酬体系は各国で統一化されておらず、グレードごとの基本給レンジ設定や評価にもとづく昇降給などの方針を軸にポリシーをまとめていきたいと考えている
・2016 年からグローバル共通の人材データベースの運用を開始し、人材情報を社内ネットワークで共有している(情報参照は、権限・責任のレベルで制限)
・人材レビューや後継者育成計画への活用を視野に入れている
・ 管理職層のリーダーシップトレーニングのグローバル共通化や、日本人への英語力・ダイバーシティマネジメント力強化にも取り組み始めている
・M&A 先も含め、海外含めて何かを決めていくためには、「早い情報開示」と「早い段階でプロセスに関与してもらうこと」が重要。上記グローバル制度の導入においては、同様の運営が一般的な外資系グローバル企業出身の現地法人 HR 担当者が多く、総論として同意や後押ししてくれたことも大きかった。各国の文化的特徴も加味して議論を深めていくことが重要
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