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人的資本開示は経営戦略へ 海外と日本の最新動向から読み解く

紹介

人的資本開示をめぐる議論は、単なる情報開示の巧拙ではなく、「企業が人材をどのように価値創造につなげているか」を問う段階に入っています。

欧州を起点とする規制強化や国際基準の進展は、日本企業の人材育成や組織設計の在り方そのものを、投資家視点で再定義することを求めています。

企業にとって、開示要請の背景を理解し、自社の育成戦略とどう結び付けて語るかは重要なテーマです。

本記事では、人的資本開示をめぐる国際・国内動向と、日本企業が取るべき戦略的視点についてご紹介します。

ポイント

人的資本開示は「報告義務」ではなく、経営と育成を語る言語になる

日本では2023年以降、人的資本情報の開示が本格化しましたが、2025年現在、その焦点は形式的な指標開示から「戦略的な対話」へと移っています。

従業員数や女性管理職比率といった数値は出発点にすぎず、それらがどのような人材戦略や育成方針に基づくのかが問われています。

グローバル人材育成の観点では、育成投資やスキル形成が中長期の成長戦略にどう結び付いているかを説明できるかが重要です。
人的資本開示は、人材育成を経営ストーリーとして言語化する機会であり、人事部門が戦略の翻訳者としての役割を果たすことが求められています。

欧州の賃金透明化は、人材マネジメントの前提を変える

欧州で進む賃金透明性指令は、給与レンジの事前提示や賃金格差の是正プロセスを義務付けるなど、企業の人材マネジメントに直接影響を与えます。
これは単なる制度対応ではなく、「なぜその報酬なのか」を説明できる組織であるかが問われているとも言えます。

グローバルに事業を展開する企業では、報酬・評価・育成の一貫性が不可欠です。
育成機会の提供やキャリア形成の考え方を、報酬や評価と結び付けて整理し、説明可能な形にしておくことが、今後の基盤となります。

国際基準が示すのは「人材育成の質」をどう示すかという問い

最新の国際基準では、ウェルビーイング、スキル開発、後継者計画、組織文化といった多面的な要素が人的資本の重要テーマとして位置付けられています。
これは、単年度の成果ではなく、人材が持続的に成長できる仕組みを持つかどうかが評価対象になっていることを意味します。

グローバル人材育成の現場では、育成施策を点ではなく線や面として捉え、経営戦略との関係性を整理する視点が欠かせません。
人事部門単独ではなく、経営企画やサステナビリティ部門と連携しながら、人材育成の価値を投資家や社会にどう伝えるかを設計することが、今後の重要な役割となるでしょう。

概要

配信元:日本の人事部

公開日:2025/11/27

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