三井住友カード、専門人材向けジョブ型人事制度を導入　市場価値連動で育成と流動性を両立

紹介

日本企業でも「専門性重視」「流動性前提」の人事設計が加速しています。

三井住友カードが導入した新たなジョブ型制度は、長期雇用に依存せず、市場価値を基準にした評価・処遇を実現するものです。
グローバル人事・育成担当者にとって、専門スキルの明確化と自律的キャリア形成を支える仕組みづくりのヒントとなる事例です。

本記事では、同社の制度設計のポイントをご紹介します。

ポイント

専門人材がスキル発揮に専念できる「ジョブ固定型」設計

本制度では、ジョブの変更を伴う異動がなく、職務ごとに求められるスキルレベルを基準に成果を評価します。
従来の「幅広く経験を積む総合職型」とは異なり、特定領域での専門性を深めるキャリア設計が可能です。

これは、グローバル企業で一般的な「職務ベースのタレントマネジメント」に近く、スキル基準の明確化や職務定義の精緻化が人材育成の新たな焦点となることを示唆しています。

市場価値を反映した評価・処遇で流動性を担保

長期雇用を前提とした従来の日本型人事制度から転換し、市場価値に連動した評価・処遇を実現する仕組みです。
各ジョブやスキルレベルに応じて処遇を設定し、退職金や年金制度を適用しないなど、労働流動性を高める設計となっています。

こうした変化は、企業が多様な専門人材を柔軟に活用し、変化の激しい環境に対応するための基盤づくりとも言えます。

人材の流動化を前提に、どのように組織の知を蓄積・活かしていくかが、今後の育成施策の焦点となります。

成果とスキル伸長を重視した報酬システム

定期昇給を原則廃止し、賞与は成果に応じて変動幅を大きく設定する一方で、スキルの伸長と組織ニーズに基づいて役割期待を更新する仕組みとしています。
これは、社員一人ひとりの成長と組織目標の連動を促す制度でもあります。

しかし、成果偏重ではなく「どのスキルが成果を支えたのか」「どのように能力が進化したのか」を正しく評価できる仕組みがなければ、育成施策の質は高まりません。
人材育成担当者に求められるのは、スキルの可視化と成長プロセスを測定する指標を設計し、個の成長を組織成果へと結びつける視点です。

概要

配信元：JIJI.COM

公開日：2025/10/15

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