外国人労働者182万人に増加。人材不足と即戦力に期待
統計調査
グローバル人材育成ニュース
海外事業・人事戦略やグローバル人材育成に
参考となる統計調査をご紹介
海外事業を成長戦略の柱に据える企業が増える一方で、海外赴任者の早期帰任や、若手世代の海外志向低下が大きな課題となっています。
海外赴任者を輩出している日本企業(従業員数500名以上)の人材育成・研修担当者400名を対象に行われた「海外赴任前研修」の実態調査から、研修の必須化は3割未満にとどまり、9割以上の企業で途中帰任が発生していることがわかりました。
語学力だけでは説明しきれない「文化適応」や「現地コミュニケーション」の重要性を浮き彫りにし、研修体系やキャリア設計の見直しを迫る内容です。
海外赴任を単発の配置ではなく、組織的なグローバル人材育成のプロセスとして再設計するうえで、多くの示唆を与えてくれます。
本記事では、日本企業の海外赴任前研修の実態と今後の方向性についてご紹介します。
調査では、早期帰任理由の上位に「文化や価値観への不適応」「現地スタッフとの関係不全」が挙がり、「語学力不足」を上回りました。
画像引用:Kyodo News PR Wire
選抜基準でも、語学力に加え、専門性、リーダーシップ、ストレス耐性など総合力が重視されています。
人事・育成としては、「異文化理解」「多様な価値観との協働」「非公式場面を含むコミュニケーション力」を明確なコンピテンシーとして定義し、赴任前研修・選抜・評価の全てで一貫して扱うことが重要です。
語学研修も、会議や交渉だけでなく、雑談や共感を通じた信頼構築場面を想定した設計が求められます。
海外赴任者が年間100名以上の企業も多いにもかかわらず、赴任前研修を必須化し全員が受講している企業は3割未満で、個人任せ・未実施も3割超にのぼります。
派遣規模は拡大しているものの人材育成の仕組みが追いついていない現状が浮き彫りになりました。
画像引用:Kyodo News PR Wire
研修内容の中心は「安全対策」「語学」「異文化理解」ですが、家族支援やメンタルヘルス研修の実施率は2割前後にとどまりました。
こうした結果から、研修体制のばらつきや内容の偏りが、海外赴任者支援の課題となっていることがわかります。
単に研修費を拡大することよりも、限られたリソースをどのように配分し、実際の成果につながる質の高い研修を設計できるかが重要です。
「海外赴任前研修や海外赴任人材の育成・選抜において感じている課題」という質問では、「希望者減少」「若手の海外志向低下」が最大の課題として浮上しました。
海外赴任が「負担」や「リスク」としてのみ捉えられると、適性ある人材ほど手を挙げなくなります。
組織としては、赴任前後のキャリアパスを明示し、「どのような経験がどの役割につながるか」をストーリーとして示すことが重要です。
また、帯同家族の生活・教育支援、メンタルケア、帰任後の配置や処遇の透明性も、意欲と定着を左右する要素です。
トレーニー制度や短期派遣などの段階的な海外経験機会を整え、「挑戦したい」「成長できる」と感じられる仕組みを整備することが、持続的なグローバル人材パイプラインの構築につながります。
日本企業における「海外赴任前研修」の実態調査
海外赴任者を輩出している日本企業(従業員数500人以上)の人材育成・研修担当者400名
2025年09月09日~2025年09月10日
インターネット
公開日:2025/09/30