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回転寿司チェーンの海外展開に見る人材戦略の違い―明暗を分けた要因とは

紹介

訪日外国人観光客の増加や日本食ブームを背景に、飲食業界ではグローバル展開への関心が高まりを見せています。
中でも回転寿司チェーンは、日本発の食文化として、海外での成長が期待される業態です。

本記事では、日本を代表する2大回転寿司チェーン「くら寿司」と「スシロー」の中国市場における展開を事例をご紹介します。
グローバル展開を志向する企業にとって、人材の質と育成の仕組みは不可欠な競争力となるはずです。

ポイント

「直営」にこだわったくら寿司、撤退の背景はタイミングとローカライズの難しさ

くら寿司は、中国・上海において直営での展開を選択し、品質やブランド価値を重視する戦略を採っていました。
現地法人を設立し、自社のノウハウをもとに店舗を運営する体制を構築しましたが、新型コロナウイルスの影響で初出店が3年遅れたことや、処理水問題による日中関係の冷却、さらには中国経済の減速などが重なり、2025年内に中国全店舗を閉店する決断に至りました。

直営体制は、ブランド統制には有効ですが、運営コストの高さや現地文化への適応に時間を要するなど、リスクも伴います。
現地のニーズと変化に即応する柔軟性が求められる中、くら寿司は慎重な撤退を選択した形となりました。

スシローの拡大を支えた「人材育成」と現地対応力

一方で、スシローは2021年の中国本土進出からわずか数年で49店舗(2025年1月時点)まで拡大。
業績も好調で、海外展開が成長の大きな柱となっています。

スシローの強みは、直営による展開でありながら、現地人材の登用と育成に力を入れている点です。現地法人の立ち上げは日本人が担いつつも、一定のフェーズを超えると経営陣も含め現地スタッフが中心となり、地域の文化やニーズに即した組織づくりを実現しています。

サービス業において、現地で“愛される”存在となるためには、こうした現地化が欠かせません。

国内の人材育成が海外成長の土台に

スシローでは、国内で成果を上げた人材が海外展開の中核を担っています。
営業部長クラスが現地法人の代表として赴任し、300億円規模の事業運営を経験した精鋭が海外拠点を支えています。

さらに、社長や役員クラスにもアルバイトやドライバー出身の登用例があるなど、挑戦と成果に報いる人材マネジメントが企業文化として根づいています。

こうした人材が現地での採用・育成も担うことで、グローバル展開における競争力を高めているのです。

概要

配信元:KODANSHA

公開日:2025/07/10

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