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日本企業の未来を支える「AI時代の人的資本形成」

紹介

日本企業はこれまで、終身雇用や年功賃金と密接に連動したOJT(On-the-Job Training)を中心としたスキル形成モデルにより、企業特殊的なノウハウの蓄積を強みとしてきました。

しかし、AIやデジタル技術の急速な進展、働き方改革に伴う労働時間規制の強化により、従来の仕組みは転換点を迎えています。

本記事では、AI時代の人的資本形成における日本企業の課題と実効的な対応策についてご紹介します。

ポイント

 ジョブ型雇用とハイブリッド型制度の慎重な設計が必要

AI時代における人的資本形成の土台として、ジョブ型雇用や複線型人事制度などの柔軟な人事制度が注目されています。

これにより、社員が専門性を発揮し、多様な働き方を選択できる環境の構築が進められています。
ただし、こうした制度は短期的なコスト削減や形式的導入に陥るリスクがあり、慎重な設計が求められます。

特に、日本企業の強みである長期的育成やチームワークと調和させる「ハイブリッド型ジョブ型制度」の検討が不可欠です。
職務定義の明確化、透明性ある評価・処遇、公募制の活用など、実効性のある仕組みづくりが重要です。

学習文化の醸成と環境整備で社員の挑戦を支援

人的資本形成には制度の整備だけでなく、企業文化や職場風土の醸成が鍵となります。
どれほど研修機会を用意しても、社員が学ぶ意欲や挑戦する勇気を持てなければ効果は上がりません。

重要なのは挑戦と失敗を許容する文化づくりです。
社員が安心して未知のスキルや知識の習得に踏み出せる心理的安全性の高い職場環境は、イノベーションを生む基盤となります。

企業は学びの機会の提供に加え、学んだスキルが活かされる配置転換や昇進・報酬に明確に結びつく仕組みを整え、社員の学習意欲を持続的に引き出すことが求められます。

 人的資本の可視化と戦略的な情報開示で信頼を獲得

人的資本の投資効果を可視化し、社内外に発信することが、企業価値向上と投資家・社会からの信頼確保につながります。

国際規格である人的資本に関する情報開示のガイドラインISO30414などを活用し、単なる数値開示にとどまらず、自社ビジョンと連動した人的資本ストーリーを描くことが肝要です。

測定→開示→フィードバックによるるPDCAサイクルで人的資本経営の明確化と戦略のブラッシュアップを継続的に行うことが企業の持続的成長に不可欠です。

AI 時代における日本企業の人的資本形成は、「人への投資なくして企業の未来なし」です。
人材を単なるコストではなく、持続的な成長を支える「資本」として捉え、戦略的かつ継続的に能力開発へ投資する経営の重要性が、これまで以上に高まっています。

概要

配信元:Daiwa Institute of Research Ltd.

公開日:2025/05/27

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