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国内外で企業価値の差が広がる中、人的資本経営の重要性が改めて注目されています。
日本企業の成長鈍化と従業員のエンゲージメント低下の関係は深く、企業には人材を「資本」と捉えた経営への転換が求められています。
本記事では、丸井グループの事例から人的資本経営の具体策とその効果をご紹介します。
丸井グループは、リーマンショック後の赤字を機に、従来の「強制」や「やらされ感」に基づく企業文化を見直し、社員一人ひとりの自主性を尊重する企業風土への変革を進めてきました。
当初は人的資本経営を意識したものではなく、社員の活性化に向けた取り組みの積み重ねが結果的に人的資本経営の実践へとつながった。と営業企画部の沓掛部長は語っています。
具体的には、若手社員と経営層が自由に意見交換できる場を設け、社員の意向を尊重したジョブローテーションを導入。こうしたボトムアップの文化が、従業員のエンゲージメントを高め、組織の柔軟性を強化しました。
丸井グループが実践する人的資本経営の根底には、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の「三方よし」の精神があります。
顧客や社会の幸せの前に、まず社員の幸せがあるべきだという理念のもと、社員食堂で社長自らが社員と日常的に対話を重ねるなど、現場の声を経営に取り入れる仕組みを築いてきました。
このような取り組みが、組織内の心理的安全性を高め、社員がのびのびと力を発揮できる基盤をつくり上げています。
米国と比べ、日本は「物的資産」に偏重し「人的資本」の価値が軽視されがちです。
しかし投資家の目は今、人材への投資に積極的な企業に向けられています。
丸井グループのように、社員の成長と自主性を尊重し、学びの場や挑戦の機会を用意することが、投資家や優秀な人材に選ばれる企業の条件となりつつあります。
これからの企業経営では、人的資本を単なるコストではなく価値創造の源泉として捉え、事前研修やキャリア支援を通じた実践的な人材育成が不可欠です。
企業の成長戦略に「人への投資」をどのように組み込むかが、競争優位を左右する重要なテーマといえるでしょう。
配信元:Newsweek
公開日:2025/05/21
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