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中国・上海の裁判所が2025年5月14日、日本人男性にスパイ容疑で懲役12年の判決を下したことを受け、日本企業にとって駐在員派遣のリスク管理が改めて課題として浮き彫りになっています。
中国外務省は日本政府に対し、在留邦人に中国の法令順守を徹底させるよう求めており、企業側も現地法制度や情勢に即した対策が不可欠です。
本記事では、中国での駐在員拘束事例を踏まえ、日本企業が講じるべきリスク管理の具体策をご紹介します。
中国の国家安全法や反スパイ法は適用範囲が広く、その解釈は曖昧な部分があります。
市場調査や競合情報の収集といった通常の業務であっても、当局の判断次第では違法行為とみなされる恐れがあります。
これに対し、日本企業は現地の法務専門家と密に連携し、業務の透明性を確保する仕組みを整備する必要があります。
特に政府関係者との接触や情報収集活動は、事前承認や記録管理を徹底し、駐在員がリスクを回避できる体制づくりが求められます。
駐在員が現地で不用意な行動を取らないよう、渡航前の事前研修が不可欠です。
中国の法制度、文化、そして違法と誤認されかねない行為について、具体的事例を交えて教育することが重要です。
SNSやメールでの発信、公共の場での会話、電子機器の管理など、日常業務に潜むリスクへの理解を深め、対応策を身に付けさせる必要があります。
地政学的リスクや現地の最新法令動向に関する情報を定期的に共有し、駐在員の意識を高め続けることが、企業の信頼性確保と駐在員の安全に直結します。
日本企業は、駐在員が万一拘束された場合の初動対応体制を強化する必要があります。
現地法律事務所や危機管理コンサルタントとの契約、日本大使館・領事館との連携体制の事前構築が不可欠です。
加えて、現地採用やリモート勤務の活用など、駐在員リスクを分散させる戦略も有効です。
企業のコンプライアンス部門と現地法人が密に連携し、情勢の変化を迅速に共有できる体制を整えることで、予期せぬトラブルへの対応力を高めることができます。
今回の判決と中国当局の姿勢は、駐在員派遣企業にとって「備えの重要性」を改めて突き付けています。
法令遵守、社員教育、リスク管理、危機対応を柱に、駐在員が安心して業務に専念できる環境を整えることが、日本企業の持続的なグローバル展開の礎となるでしょう。
配信元:Yahoo!ニュース
公開日:2025/05/19
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