
海外展開「前向き」が6割超。人材確保と現地戦略がカギ
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日本貿易振興機構(ジェトロ)は2024年12月、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(ロシア編)」の結果を発表しました。
ロシア情勢の長期化に伴い、同地に進出する日系企業は困難な経営環境への対応を余儀なくされています。
今回の調査からは、利益面での厳しさが続く一方で、「撤退」を選ばずに現地にとどまり様子を見る姿勢や、今後の展望を見据えた企業の対応も見えてきました。
また、日本人駐在員の削減傾向が落ち着きつつあることは、現地での人材マネジメント体制の安定化を示す重要な兆候です。
本記事では、調査をもとに、ロシアでの現状と企業の対応のポイントを整理します。
変化の続く海外事業拠点において、駐在員を含む人材配置や育成戦略を中長期的な視点で再考する好機となるでしょう。
2024年の営業利益見込みについて、「赤字」と回答した企業は47.5%と依然高い水準にありますが、前年からは7.3ポイント減少し、改善傾向が見られます。
また、「営業利益が悪化する」と見込む企業の割合も、2023年の65.3%から37.9%へと大きく低下しました。
現地での需要回復や販売体制の強化が影響しているとされ、先行きへの慎重ながらも前向きな兆しが一部にうかがえます。
画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構
駐在員数についての調査では、過去1年間の変化において「横ばい」が79.7%と最も多く、今後の見通しも「横ばい」が86.4%を占めました。
2022年以降、駐在員削減の動きが見られましたが、現在はその動きが一段落し、駐在員体制が安定しつつあることが分かります。
画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構
今後1~2年の事業方針については、「現状維持」が58.6%で最も多く、「拡大」とする企業も3.4%存在しています。
「撤退・移転」を選んだ企業は13.8%にとどまり、2023年とほぼ同水準でした。
さらに、事業継続企業のうち42.0%は「情勢を見ながら判断する」とし、34.0%は「情勢が悪化してもロシアに残る」と回答しています。
即時撤退ではなく、状況を見極めながら慎重に対応していく方針が大勢を占めています。
グローバル事業においては、リスクの高い地域においても中長期的な人材戦略を描き、地政学的な変化においても柔軟な対応力が重要といえるでしょう。
ロシアにおける日系企業活動の実態を把握し、その結果を広く提供することを目的とする。
ロシアに進出する日系企業(日本側による直接、間接の出資比率が10%以上の現地法人または支店。駐在員事務所は対象外)。
2024年(令和6年) 9月4日~9月24日
83社に回答を依頼し、59社より有効回答を得た(有効回答率71.1%)。
配信元:独立行政法人日本貿易振興機構
公開日:2024/12
ページ:41
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