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変革を進める日本企業に共通する7つの視点、人事制度の進化と人材育成の鍵

紹介

「失われた30年」「日本は停滞していた」といった見方に対して、日本企業はむしろ“スローな変革”を続けてきたのではないか――。
こう語る、日本企業の経営研究を専門とする米カリフォルニア大学サンディエゴ校のウリケ・シェーデ教授。

教授によれば、日本の先進企業は社会への衝撃を最小限に抑えながら、目立たずとも着実に変革を進めてきたといいます。
その変革を支える柱の一つが、人事制度を通じて社員のマインドチェンジを促す仕組みです。

これから変革を成し遂げようとする日本企業、そして人事部門は何を目指すべきなのか、教授のお話をご紹介します。

ポイント

ポイント①:経営と連動した人事戦略に共通する7つの視点

2000年代前半、日本経済が低迷する一方で、高収益を上げている企業がありました。
そこで上位200社のうち20社の経営者や管理職に聞き取り調査を実施すると7つの共通点が見えてきました。

それは、利益(Profit)、戦略(Plan)、危機意識(Paranoia)、効率性(Parsimony)、情報の透明性(PR)、リーダーシップ(People)、幸福感(Pride)の7要素です。

これらの企業では、売上よりも利益を重視し、明確な戦略のもとで全社員が健全な危機意識を持ち、無駄を排除しながら効率的に業務を進めているとされています。
また、経営情報の開示が進んでおり、ビジョンを明示する経営者のもとで、社員が生き生きと働いているという特徴があります。

ポイント②:社員のマインドセットを転換する人事制度の特徴

人事関連で見られた共通の取り組みとして、いくつか重要なことが見えてきました。
「有望な人材を即戦力として登用すること」「成果重視で従業員を評価する制度」「従業員のエンパワーメント、モチベーションアップ、幸福度の向上」です。

また、「才能ある特別な人材」だけでなく、大多数の“普通の社員”をどのように育てるかが人事部門の重要な役割であるとしています。
そのためには、社員がいきいきと働けること、仕事の目的が明確であること、仕事にアカウンタビリティー(説明責任)があることが必要です。
成果があれば祝ってもらい、失敗すればフィードバックされることです。

社員が役割の意味を理解し、自律的に行動できるような仕組みづくりが求められます。

ポイント③:人事制度の透明性とアウトプット評価の重視が進む

社員のモチベーションや幸福度を高めるためには、人事制度の透明性を確保することが、まず第一歩です。

昭和時代の人事制度は不透明でした。昇進の際は、誰がどのような基準で選んだのかがわかりません。ポジションが給与と結びついていましたが、それ以外に社員が自分自身の評価を知るすべがありませんでした。
社員には社内政治よりも仕事に注力してもらうべきです。透明性があり、どんなプロセスで何のために昇進させられたのかが明確であることが重要です。

企業の方向転換は、人事制度の方向転換がなければ実現できません。
昭和時代の人事制度を、令和時代の企業戦略に合わせるのは無理でしょう。与えられた業務をこなすマインドセットから、自ら新しいものを創り出すマインドセットへの転換が必要です。

ただし、変革は人事部門だけで実現できるものではなく、企業全体の方向性を示す経営陣のビジョンが欠かせません。
ビジョンに基づき、新しい制度や仕組みを設計し実行することが、人事部門の役割です。

日本企業には、スローな変革を通じて着実に成果を出してきた独自の強みがあります。
これからは、社会の変化がさらに加速する中で、強みを生かしながら、抜本的な変化を進めるチャンスが到来しています。
人事部門が経営陣と協力し、社員一人ひとりが自らの役割を実感しながら働ける環境を整えれば、変革を実現することは十分に可能です。

 

概要

配信元:日本の人事部

公開日:2025/02/25

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