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2024年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)

紹介

日本貿易振興機構(ジェトロ)は2024年12月、「2024年度 海外進出日系企業実態調査|欧州編」の結果を発表しました。

今回の調査では、営業利益の見通しや今後の事業展開、欧州における規制対応、人材確保や経営課題、ESG対応など幅広い分野で日系企業の実態が明らかとなりました。

本記事では、調査をもとに、今後の人材戦略や制度対応に関わるポイントを整理します。
グローバル人事・育成担当者にとって、人材確保や育成計画の見直しを進める上での参考記事としてお役立てください。

ポイント

ポイント①:営業利益は減少傾向、慎重姿勢が広がる

欧州全体における営業利益の黒字見込みは66.2%と、前年より3.2ポイント低下しました。
特に製造業では61.0%となり、中・東欧地域での落ち込みが目立ちます。

一方で、営業利益が改善すると見込む企業では「現地市場での需要増加」や「販売体制の強化」が理由に挙げられており、国・業種によってばらつきがある結果となりました。
今後1~2年の事業方針としては、「拡大」が46.2%に上り、一部の国では拡大意欲が高い傾向が見られました。成長分野に経営資源を再配分しようとする動きもうかがえます。

画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構

ポイント②:EUの規制強化にどう向き合うかが焦点

注目されているEU規制では、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」が39.2%と最も関心を集め、「企業持続可能性報告指令(CSRD)」が続いています。
これらの制度は今後の報告義務やコスト負担に直結するため、対応の優先度が高まっています。

画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構

また、ESGの取り組みにおいて「人権デューディリジェンス(DD)」を実施している企業は37.2%、「脱炭素化に取り組んでいる」企業は59.7%となっており、いずれも前年調査から若干減少しています。
背景には、人材やノウハウの不足、負担増への懸念があると見られています。

ポイント③:人材確保が経営の最重要課題に

欧州で事業を展開する日系企業にとって、「人材の確保」が最大の経営課題となっています。
全体で65.5%が課題と回答しており、前年から10.5ポイント増加しました。
中・東欧地域では71.4%に達し、地域による人材確保の難しさも際立っています。

その他、「労働コストの上昇」「インフレ」「輸送・調達コスト」など、経営負担の増加が複数の領域で指摘されており、人事・育成担当者には、継続的な採用支援とともに、定着率や職場満足度を高める仕組みづくりが求められています。

人材確保や制度対応が経営課題となる中、グローバル人事・育成担当者には、現地事情に即した人材戦略と中長期の育成計画を両立させる視点が求められています。

調査詳細

調査の目的

海外に進出する日系企業活動の実態を把握し、その結果を我が国企業および政策担当者向けに幅広く提供することを目的とする。

調査対象

西欧14カ国、中・東欧9カ国の日系企業(日本側出資比率10%以上の法人。駐在員事務所、連絡事務所、現地で日本人が起業した法人は対象外)1,324社を対象にオンライン配布・回収によるアンケートを実施。

調査時期

2024年(令和6年) 8月27日~9月19日

回収状況

772社より有効回答を得た。有効回答率58.3%。

 

概要

配信元:独立行政法人日本貿易振興機構

公開日:2024/12

ページ:59

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