
海外赴任者の給与手当、10%前後の微増にとどまり実質目減りの懸念も
トレンド
グローバル人材育成ニュース
今話題の「グローバル×人事関連」情報をお届け
海外展開を進める企業にとって、グローバル人材の確保と育成は経営戦略と直結する重要テーマとなっています。
経団連主催の労働法規委員会国際労働部会において、PwCコンサルティングの長谷部司氏、およびテルモの足立朋子氏が、それぞれの立場からグローバル人材マネジメントの実践と課題について講演を行いました。
本記事では、両氏の説明と制度や育成に関する企業の実践例をご紹介します。
長谷部氏はグローバル人材マネジメントの基盤として、組織戦略に基づくガバナンスの構築、企業グループ全体での人事制度の共通化、グローバルリーダーの育成、人事機能の高度化・システム統合の重要性を説明しました。
グローバル企業においては、本社がすべての業務を直接把握することが難しいため、現地法人や事業部との間での権限移譲とガバナンスの分担が求められています。
人材の育成や配置を最適化するためには、ジョブ型人事や等級制度の統一に代表されるように、人事制度をグローバルに共通化する必要があります。
また、企業価値を継続的に高めていくには、将来の組織像に基づき重要な役職を定義し、後継者を計画的に育成するサクセッションプランニングが重要です。
人材マネジメントにおいても、急速に進化するデジタル技術を活用しながら、システム面からの再設計が進められています。
さらに、グローバル人材に選ばれる企業となるためには、日本本社の組織改革を進めつつ、まずは海外事業の地域統括を設置・活用し、現地法人幹部のキャリアパスを明示することも一案です。グローバル人材競争が激化するなか、駐在員管理にとどまらず、グローバル視点で人事組織を構築していくことが求められています。
テルモの足立朋子氏は、海外売上比率が約80%に達する同社において、2018年から経営戦略と連動したグローバル人財戦略を段階的に拡大してきた経緯を説明しました。
テルモでは、グローバルリーダーの育成、グロース・マインドセットの醸成、多様な人財の活躍、戦略的スキルの獲得の4つを目標としています。
リーダーシップ育成プログラム「Mirai」の実施や、グローバル人財会議を通じた情報共有により、育成と登用を進めています。
多様な人財の活躍としては、医療現場や患者の多様なニーズに対応するための指針を整備しており、国内外の人財に対しては、働く価値や魅力をブランディングの観点から明確にしています。
現場の自律性や長期的なパーパスを重視する点が特長です。
さらに、2022年からは人事制度をジョブ型へ段階的に移行し、キャリア自律、適所適材、成長支援の3つをコンセプトに制度設計を進めています。課長職の公募制やAIを活用したタレント・マーケットプレイスの導入を通じて、一人ひとりの成長機会の提供を図っています。
今後も経営方針と同期した人事戦略を加速させることで、医療業界への貢献を目指していく方針です。
配信元:経団連タイムス部
公開日:2025/02/13
次の記事