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外国人材の受け入れが転機を迎える、育成就労制度で企業に求められる人材戦略とは

紹介

労働力不足が深刻化する日本社会において、外国人材の存在は不可欠なものとなっています。

2024年6月に法改正が行われ、これまで30年以上続いてきた技能実習制度を廃止し、「育成就労」という新たな制度が創設されました。
この制度は、単なる人手不足の補填にとどまらず、外国人労働者のキャリア形成と長期就労を前提とした仕組みに進化しています。

本記事では、育成就労制度の概要と企業側に求められる視点についてご紹介します。
グローバル人事・育成担当者にとっては、従来の一時的な就労支援から、中長期的な人材育成と定着支援への転換が求められるタイミングといえるでしょう。

ポイント

ポイント①:技能実習から育成就労へ、「人材育成を前提とした受け入れ」へと制度が転換

これまでの技能実習制度は、国際貢献という建前と、実際には労働力確保が主目的という運用実態の乖離が長年にわたり問題視されてきました。
今回の法改正により、この制度は発展的に解消され、新たに育成就労制度が創設されます。

新制度では、原則3年の育成期間を経て、一定の技能を身につけた人材が特定技能へと移行することを想定しています。
つまり、就労を通じた技能習得とキャリアの定着を前提とした制度設計に変わったのです。
これは、企業にとって単に「雇う」のではなく、「育てる」視点で制度と向き合うことが求められることを意味しています。

ポイント②:企業には処遇改善と教育環境整備が求められる

育成就労制度の導入により、企業には制度対応だけでなく、外国人材を受け入れる体制そのものの見直しが迫られています。
たとえば、母国の仲介業者に支払う手数料の一部を企業側が負担する仕組みや、転籍の柔軟化により、待遇・教育・職場環境の質が人材の定着に直結するようになります。

今後は、教育研修制度の充実や、生活支援を含むフォロー体制の整備、キャリアパスの見える化が、外国人材にとっての職場選びの判断基準となっていくでしょう。
人材の競争力は報酬だけでなく、「育成の質」にも依存する時代がすでに到来しています。

ポイント③:言語・資格・文化理解──受け入れには段階的なスキル育成が不可欠

育成就労制度は、最終的に特定技能への移行を前提とした制度です。
しかし、特定技能には業種ごとに異なる日本語能力や資格要件があり、制度が用意されただけでは人材が定着するとは限りません。

たとえば、サービス業や交通業界では、業務上の資格取得が必要になるケースも多く、日本語の壁や試験制度への対応が大きな課題となっています。
したがって、企業は段階的な育成支援を通じて、言語・実務・文化への適応力を一体的に育てていく必要があります。

これはまさに、グローバル人材育成を行っている企業にとって、実務直結型の教育設計が価値を発揮するといえるでしょう。

制度の転換期を迎える今こそ、外国人材を「育てて活かす」視点が不可欠です。
持続的な人材確保のためには、制度対応にとどまらず、中長期的な育成戦略を見据えた準備が求められます。

概要

配信元:日経ビジネス

公開日:2025/02/19

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