グローバル人材育成ニュース

海外売上高比率の企業や
グローバル人材育成に積極的な企業の事例をご紹介

アステラス製薬、グローバル人材戦略を刷新「One Astellas」で世界に通用する組織へ

紹介

日本発でありながら、従業員の約7割が外国籍、海外売上比率8割超を誇るアステラス製薬。
同社が実践するのは、制度・人材・文化のすべてをグローバル基準で統一し、従業員の行動とマインドセットにまで落とし込む変革です。

本記事では、アステラス製薬の副社長を務める杉田勝好氏が語った「世界で戦える組織作り」の秘訣をご紹介します。
グローバル人事・育成担当者の方は組織開発・人材マネジメントの参考記事としてお役立てください。

ポイント

ポイント①:グローバル共通の「健全な組織」を目指す、OHGによる行動の可視化

アステラス製薬では、2021年度からの経営計画の中に「組織健全性目標(OHG)」を位置づけています。
これは、戦略や成果だけでなく、それを支える環境やカルチャーを整えることを目指したものです。

OHGは、果敢なチャレンジを促す姿勢、人材とリーダーの活躍、そして「One Astellas」という統一感の3つの観点から構成されています。
こうした目標をグローバルで共有し、実際の人事制度や育成に反映することで、社員の行動と企業文化が連動する状態を実現しています。

このように組織文化を行動レベルで可視化し、全社的に定着させていく取り組みは、多国籍な組織においても一貫した価値観の醸成につながります。

ポイント②:ピープルビジョンでマネジャーの役割を明確化し、育成と評価を連動

同社では「ピープルビジョン」と呼ばれる指針を通じて、社員の階層ごとに求める行動を明確に定義しています。

シニアリーダーには変革をけん引するリーダーシップを、マネジャー層にはチームのコーチングとケアを、そして全社員にはリスクを恐れずに挑戦するマインドセットが求められています。
とくにピープルマネジャーに対しては「Lead(導く)」「Coach(育てる)」「Care(支える)」の3要素を重視し、マネジメントの質を高める取り組みが進められています。
役割と行動を明文化することで、育成の方向性と評価基準の一貫性を保ちながら、マネジャー育成の土台が整えられています。

このように、現場のリーダーが率先して文化を体現する仕組みは、育成担当者にとっても重要な設計ポイントとなります。

ポイント③:次世代リーダー育成とダイバーシティ実現は“可視化と仕組み化”で推進

次世代リーダーを選抜・育成する「Next Gen Leadership」プログラムを展開しています。
グローバルから選出された50名が1年間にわたり実践的なビジネス課題に取り組み、提案から実行までを担います。
また、部門長クラスの後継者選定は完全な自由競争型で行われており、外国籍比率は約6割、女性比率は4割と、高い多様性を実現しています。
さらに、人材に関するあらゆる情報を「HR Leadership Dashboard」で可視化し、組織構成、階層、採用・退職傾向などをデータに基づいてマネジメントしています。
これにより、経営層やHRBPと人材戦略の方向性を具体的に共有できる環境が整っています。

アステラス製薬の事例は、組織文化の言語化と浸透、人材育成の役割定義、そしてダイバーシティとリーダー開発を制度として機能させる実践が詰まっています。
グローバル人事・育成を担う方々にとって、今後の制度見直しや人材戦略の設計において大きなヒントとなるのではないでしょうか。

概要

配信元:Human capital online

公開日:2025/02/03

Human capital online

 

合わせて読みたい

grid