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世界的な物価上昇や為替変動が続くなか、多くの日本企業では海外赴任者の給与や手当の見直しが限定的にとどまっています。
制度そのものに大きな変化は見られず、実質的な生活コストの上昇に対して支援が追いついていない状況です。
本記事では、最新調査結果を基に、給与体系・各種手当の水準・規程見直しにおける課題を整理し、グローバル人事・育成担当者が押さえておくべき実態と今後の対応の方向性を考察します。
回答企業のうち74%が「購買力補償方式」を採用しており、本国の購買力を赴任先でも維持することを目的としています。
次いで「併用方式(本国給与+上乗せ手当)」が14%を占め、「Local Plus」や現地給与体系への全面切り替えはほとんど見られません。
ただし、為替やインフレによって実質的な購買力は低下傾向にあり、制度設計そのものが現状に追いついていない企業も多く存在します。
定期的な物価指数のモニタリングや見直しプロセスの確立が急務です。
調査によると、ここ3年で課長クラス・一般スタッフの海外勤務手当は約10%上昇しています(課長クラス:135,000円→142,000円、一般スタッフ:100,000円→110,000円)。
また、単身赴任手当も課長クラスで88,000円→100,000円、一般スタッフで80,000円→90,000円と上昇しています。
一方で、ニューデリーでのハードシップ手当は120,000円、ジャカルタで75,000円など地域ごとの負担差は依然大きく、支給額が物価上昇に比例しているとは限りません。
生活実感とのギャップを放置すると、モチベーション低下や赴任希望者減少にもつながりかねません。
海外赴任者規程を持つ企業の68%が「処遇改善」を見直し理由に挙げる一方で、規程改定の課題として43%が「手当・給与の世間相場の把握」を挙げています。
他にも「税務リスクの低減」「グローバル共通規程づくり」「コスト管理」などが続き、複雑な設計に苦慮している状況です。
外部の調査機関やコンサルティング支援を活用する企業も増加傾向にあり、制度設計における“情報の非対称性”の解消が、人事部門における重要課題となっています。
特に育成担当者にとっては、報酬制度と連動した成長機会の設計も含め、トータルでの仕組み作りが求められています。
配信元:EY
公開日:2025/05/09
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