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他国モデルに頼る人事制度の改革、構造的な限界とは

紹介

国際的に見た日本の生産性や経済成長率の低迷を背景として、他国を真似した人事制度の導入が盛んに議論されています。

たとえば、日本(の会社)は長期雇用制度を維持してきたために、人材の流動性が低く非効率になっており、アメリカのように頻繁に解雇し中途人材を雇用するような人材の流動性が高い状態を目指すことで生産性が高まる、といった主張がなされることがあります。

本記事では他国の「良いところ」を真似した人事制度改革は本当に効果的なのかについてご紹介します。
人事部や海外事業部の方は、グローバル人事施策の参考記事としてお役立てください。

ポイント

ポイント①

今日の日本社会の雇用と社会保障の仕組みは1960~1970年代に固まったとされまています。雇用者中心で(会社に雇用されている男性と専業主婦の女性で構成される夫婦、そしてその子どもを含めた家族で居住する世帯)、いわゆる「標準世帯」を主とした社会保障の仕組みをとってきました。

このような「標準世帯」観とあいまって、社会保障への支出割合が国際的に見て低く、家族での支え合いを前提にしてきたことも、日本の社会保障システムの特徴だといえます。

企業が従業員を長期雇用し、年功序列賃金などの仕組みを通じて従業員の生活を保障する「日本型雇用」は、社会保障システムの特徴と複雑に絡み合って成立してきたといえるでしょう。

ポイント②

アメリカは個人主義・自由主義を背景に人材流動性が高く、それと連動して万人に提供される社会保障の水準は低くとどまっています。このことは、政治的な分断にも大きく影響しています。

スウェーデンは積極的労働市場政策を取り、若年者や失業者への就労支援や休業へのサポートが充実する、高福祉の代表的な国の一つです。しかし高福祉高負担とされる通り、税負担は重く近年ではそれに対する反発も大きくなっています。また、労働市場で不利な立場にある層への生活保障が最小限になってしまうという問題が指摘されています。

活発な転職市場という特徴を持つアメリカと、「完全雇用」に向けて柔軟な働き方を実現するスウェーデンも、日本と同様にそれらの特徴が他の社会保障の仕組みと連動しているため、一定の社会問題が生じており、表面的な「いいとこ取り」は制度として機能しにくいといえます。

ポイント③

長期雇用を廃して転職を促す制度改革や柔軟な働き方を奨励する方策のみを導入しようとする試みは成功しづらく、その部分を変えるのであれば、影響し合うほかの部分にも併せて手をいれる必要があります。

社会保障制度の改革と歩調を合わせることができれば、雇用システムが変わっていく、また個々の企業の人事制度を変えていく可能性はあるといえるでしょう。

概要

配信元:日本の人事部

公開日:2025/01/08

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