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技能実習制度、相次ぐ賃金格差による転職、企業に求められる適切な外国人材の見極め

紹介

美ら花グループは、ミヤヒラ商事株式会社、ニッサンレンタリース石垣、加屋真島観光開発などのグループ企業を展開しており、沖縄を代表する老舗企業です。

八重山地方に根差した老舗グループ企業でありながら、先駆的な取り組みも積極的に行っており、中でも、石垣島という離島で賃金がそれほど高くない場所にもかかわらず、外国人採用に成功している会社です。

本記事では、美ら花グループが取り組む外国人採用、さらにその定着において企業が求められる対策について紹介します。
人事部や海外事業部の方は人材採用の参考記事としてお役立てください。

ポイント

ポイント➀

同社が外国人を採用したのは2006年、日中友好事業の一環で中国の武漢から技能実習生を受け入れるプロジェクトに参加したことがきっかけでした。
ホテル業界で技能実習生を雇用することは珍しかった当時、2006年に2人、翌年は4人、3年目も4人と外国人の採用が続きました。

しかし、当時の制度では宿泊業で技能実習生を受け入れられる期間が1年間だけで、よい人材が来ても仕事を覚えた頃には帰国しなければならず、国内人材の確保も比較的容易であったため、外国人の採用は一時中断となりました。

しかし、2018年ごろから外国人採用を再開、当初は、中国や台湾、フィリピンなどからインターンとして半年から1年間働ける外国人を増やしていきましたが、1年のうち半年間は教育期間に充てる必要があり、実質的には半年間しか戦力となりませんでした。

その後、雇用期間の制限がない就労ビザでの採用も行い、ベトナム、ネパール、インドネシア、キルギス、ロシアなどから人材を増やしていきましたが、就労ビザでは転職が自由であるため、彼らが都市部へ転職することが頻発し、外国人材の長期的な定着は難しい状況が続いていました。

ポイント②

そのような中、宿泊業分野では2020年に技能実習2号が開始され、技能実習制度を活用して3年間の研修が可能となったことから技能実習生の採用を決意、2022年にミャンマーから4人の技能実習生を採用することになりました。

内定確定後は月に1回、採用担当者がオンラインで内定者とやり取りを続け、さらには来日前に内定者とその両親に直接会うためヤンゴンを訪問、現地では内定者の両親に職場の動画を見せ、仕事や今後の予定についても丁寧に説明しました。
さらに来日後は、仕事だけに限定しない生活全般へのフォロー体制を整備、これらのきめ細やかな対応が外国人材の定着にとって非常に大切であると考えます。

「南の美ら花ホテルミヤヒラ」では、これまで外国人採用は1年ごとに人材が入れ替わるインターンシップ制度が中心でした。しかし、監理組合への費用や給料の面でコストはかかるものの、企業としては長く働いてくれる技能実習生のメリットは非常に大きいと感じています。
そこで課題となるのが、技能実習生が3年間の研修を終え、特定技能ビザに切り替えた後、賃金的にも有利な都会で働くために転職してしまうケースです。
都会にはない石垣島の良さや、企業理念に魅力を感じてもらい、選ばれる努力をすることが求められています。

ポイント③

企業側としては、特定技能1号で滞在可能な5年間は働いてくれることを期待して1年間かけて指導し、ようやく戦力となったころに賃金の高い場所に転職されてしまう、とくに地方では、最近このような光景がよく見られます。
これは、立地が問題ではなく、人材と企業のミスマッチと言えます。

外国人を採用する際、まずは日本国内にいる外国人を採用できないか検討する企業が多い傾向にありますが、海外から外国人を採用するか、日本国内にいる外国人を採用するか、同じ外国人採用でも実は大きな違いがあります。

すでに日本で生活している外国人は、日本への適応力や日本語力が高く、即戦力として活躍できると考えられるかもしれません。
しかし、日本に住んでいる外国人は日本人とは仕事に対する考え方が異なるという点をしっかり理解しておく必要があります。
多くの外国人の日本で働く目的は「お金」であるため、待遇面や賃金面で格差が生じる地方や中小企業では、人材の定着が難しくなってしまいます。

一方、海外から外国人を採用する場合、就労ビザ取得や出国手続き、来日時の飛行機代など、日本在住の外国人を採用するよりも費用がかかることが一般的です。
しかし、海外採用では多くの候補者から選ぶことができるため、自社の企業文化に合う人材かどうかや、将来的な成長を見据えてじっくりと時間をかけて選考することが可能です。

日本での就労を希望する人材が、なぜその企業、勤務地を選んだのか、都会志向なのか地方志向なのかなどを確認する事が重要で、外国人採用は一口に語られることが多いですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
「お金」だけが理由で地方や中小企業に外国人が定着しないわけではありません。
外国人採用を一括りにせず、自社にとって適切な外国人材とはどのような人材なのかを見極めることが大切です。

概要

配信元:東洋経済オンライン

公開日:2024/11/14

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