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2023.02.10

帝人株式会社~経営リーダー人材育成の取り組み~

 

紹介

帝人株式会社ではグローバル経営における成長を牽引する人材を「グローバルコア人財」とし、グローバルポスト(国内外主要会社のマネジメント層)の候補生として、優秀人財を早期選抜し、計画的育成を実施しています。

特に注目すべき点として、帝人では「研修」のみに依存しない育成方針を掲げており、グローバルコア人材に対して「多様な経験」、「成長のための指導」、「研修」の三位一体での育成体系を構築しています。

本記事では、帝人の3つの要素からなるグローバル人材の育成体系について、それぞれ具体的な内容を交えながら紹介します。

要旨

帝人株式会社

創立:1918 年
連結売上高:7,907 億円(2015 年度)
連結従業員数:15,756 名(2016 年 3 月 31 日現在)
監査役設置会社(指名・報酬委員会機能を有する「アドバイザリー・ボード」を別途設置)

変革と創造・成長を牽引する人財の早期計画的育成を目指すグループコア人財制度

同社では、企業理念・経営ビジョンを実現し、グループ・グローバル経営における成長を牽引する人材基盤の強化に向けて、グループコア人財制度を実施。優秀人財への多様な成長機会の付与による早期育成と、グループ全体からの発掘とより大きな活躍機会と能力発揮によって、組織(事業・機能など)における変革と創造、成長を牽引する人財の早期計画的育成に取り組んでいる。

グローバルコア人財の選抜育成は、2002 年度より開始し、グループ役員候補ならびにグローバルポスト(国内外主要会社のマネジメント層)候補となる「STRECH*Ⅰ」と、STRETCHⅠの候補および中核となる部長候補となる「STRETCH*Ⅱ」からなり、それぞれ、部長クラス・課長クラスから数年以内に当該ポストへの就任が想定でき、かつ本人自身が将来のステップアップに対して高いモチベーションをもっている人財を推薦してもらっている。

さらに、2006 年度からは「SLP」(Strategic Leadership Development Program)を開始し、初任管理職から STRETCHⅡの候補者となる人財を選抜し、育成機会を与えている。

グローバルコア人財の基本的な育成・活用の考え方は、コーポレートが管轄する人財として、「戦略的配置・業務遂行」「面接・アセスメント」「Off-JT」を組み合わせた三位一体での育成を実施している。

人財育成は、70%:多様な経験、20%:成長のための指導、10%:研修の割合で有効となるものであり、研修だけでは人財は育たず、多様な成功・失敗経験と、成長のための指導(アセスメント)があって、真価を発揮するものであるということが、基本思想となっている。

*STRECH:TEIJIN Strategic Executive Team Challenge

戦略的配置の推進

上述の人財育成の基本方針のとおり、仕事を通じて人財をつくるという考えのもと、戦略的配置を推進している。

育成を視点にした計画人事を徹底するとともに、人事会議において、時間をかけて STRETCH の年間人事計画について議論し、STRETCHⅠ・Ⅱ人財のうちに付与すべき業務経験を明らかにしたうえで、各事業・機能を統括する役員と配置に適したポジションを特定し、優先的に配置するようにしている。

STRETCHⅠ人財については、主要グループ会社のトップやナンバー2、全社プロジェクトのリーダーや赤字事業の立て直しの企画参謀などのポジションに配置し、意思決定をする立場で決断することの難しさを経験させる。同時に、本人の意思決定のクセや判断軸を観察している。

STRETCHⅡ人財については、中核会社の企画管理・研究企画部署のマネジャーや、経営戦略部や技術戦略部などコーポレートスタッフ担当者などにポジションに配置し、会社や事業全体を見渡して判断する立場を経験させるとともに、出身部門と異なる価値観や文化の理解と視野の拡大を狙う。

成長のための指導(アセスメント)

人財育成においては戦略的配置とともに、成長のための指導(アセスメント)を重視している。個人の成長・変化について、多面的かつ客観的アセスメント評価を定期的に行い、その結果をもとに本人を刺激し、実行の改善を促す仕組みとしている。

3 年間の STRETCH 認定期間の中で、周囲のメンバーからの 360°評価により、日常行動の改善点を指摘するとともに、外部機関による行動特性評価を行い本人に気付きを与え、戦略的配置や研修による成長・変化をアセスメントしている。

いずれの層についても、修了時アセスメントや、人事会議での議論によって、成長度合いの評価を行っている。

ダイアログ重視の研修プログラム

研修プログラムは、インプット(理論・知識教育)だけではなく、実際の自社の課題の解決策を議論するダイアログ重視を目指して実施している。

各階層とも、共通カリキュラムとしてマネジメントスキル重視のプログラムを提供。

SLPでは事業戦略やマーケティング、会計、ファイナンスなどのマネジメント基礎スキルを習得する。

STRETCHⅠ・Ⅱでは、経営の潮流への理解を深め、理論知識の現実経営への応用を考えるとともに、自社の中期経営課題について、グループでアクションラーニングを通じ、解決策を練るという活動を行う。また、日本に限らず、海外拠点から選抜された人財も参加している。

加えて、特別カリキュラムとして、倫理観やリーダーシップ、リベラルアーツ、国際経験・ダイバーシティ感覚、自己認知といったテーマで、価値観や軸の形成、国際感覚の醸成を目的としたプログラムも実施しているほか、外部研修機関への派遣や、必要に応じて外部専門機関によるアセスメントとコーチングも提供している。

引用:経営人材育成に向けた研究会 報告書(経済産業省)

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