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海外赴任制度改善の動きが広がる。手当増額で生活基盤の安定を重視

紹介

海外赴任者の給与や手当の設計は、赴任者のモチベーションや公平感に直結する重要なテーマです。

特にグローバルに人材を送り出す企業にとって、赴任先での生活水準や安全面をどう補償するかは、組織としてのスタンスを示す指標でもあります。

本記事では、海外赴任者に関する給与・手当の実態調査についてご紹介します。

ポイント

本国水準を基準に生活安定を確保する仕組みが中心

回答した企業245社のうち182社が、海外赴任者の給与体系に「購買力補償方式(本国での購買力と同等の購買力を赴任先でも維持することを目的に、本国給与を基に赴任者給与を決定する方式)」を採用しています。

本国での購買力を基準とし、赴任先でも同等の生活水準を維持できるように調整する仕組みは、社員の安心感を高める一方、企業にとってはコスト管理が課題です。
一部では併用方式や現地給与ベースを取り入れる動きも見られるものの、まだ限定的です。

赴任者の生活安定を守ると同時に、企業側が持続的に制度を運用できるかどうか、そのバランスを取ることが重要な課題となります。

役職別手当の増額とハードシップ手当

海外勤務手当は「役職ごとに定額で支給」が32%と最も多く、「月収の一定割合」「年収の一定割合」とする企業も32%でした。
課長・一般スタッフでは10%前後の上昇が見られました。

赴任先の治安やインフラ事情に応じたハードシップ手当は、「外部の指数を参考にする」企業が56%で過半数を占めています。

規程見直しは「処遇改善」が主目的、相場把握が課題

回答企業の68%が海外赴任者規程を見直し、または新規作成しており、その理由の多くは「赴任者の処遇改善のため」でした。

一方で「世間相場の把握」が最も難しい要素として挙げられており、情報不足が制度設計のボトルネックとなっています。

海外赴任者の処遇は、生活基盤の安定と公平性を重視する流れが続いています。
制度の見直しが広がる中で、各社は相場や外部環境を踏まえつつ、自社の人材戦略に沿った柔軟な対応が求められると言えます。

調査詳細

調査概要

海外赴任者の給与・手当/海外赴任者規程/労災特別加入制度について

調査対象

企業の人事・経理・経営企画系を中心とした管理系部門に属する延べ269名

調査時期

2025年01月~2025年03月

概要

配信元:Yahoo!ニュース

公開日:2025/08/13

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