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河野太郎デジタル大臣は2024年7月17日、海外メディアのインタビューで「円は安過ぎる。価値を戻す必要がある」と日銀に追加利上げを求める発言をし、同日の為替相場は米国の利下げ期待が高まったこともあり、急激に円高が進行、一時は1カ月ぶりなる1ドル=155円台をつけました。
本記事では、なぜ円安になっても日本企業が儲からないのか、その要因についてご紹介します。
人事部や海外事業部の方は、グローバル人材の人員配置等の参考記事としてお役立てください。
政府は当初、円安により輸入物価が上昇しても、輸出産業の業績が拡大し、賃上げが進むことで一連のマイナスを相殺できると考えていたフシがありますが、急激な円安が進み始めてから2年以上が経過した現在、いわゆる円安効果というものは認められていません。
本格的な円安が始ったのは2021年以降、ドル円相場は1ドル=100円台から150円台と3分の2まで下落しています。ドルベースで同じ金額を輸出していると仮定した場合、単純計算で売上高は1.5倍になっていてもおかしくありませんが、日本の製造業の売上高はわずかに増えただけというのが現実です。営業利益率についても4%台から5%台を行き来しており、円安が始まる前後で大きな変化は見られません。
これは円安が進む中、日本円ベースでの輸出価格が上昇しているものの、輸出数量に変化がなく、ドル建てで見た場合、業績は完全に横ばいであることを意味しています。つまり日本の製造業は、円安になっても輸出数量が増えておらず、輸入コストの増大の影響もあり、円安による恩恵はほとんど受けていないということになるのです。
リーマンショック後からの日本の輸出金額と輸出数量を調べると、輸出金額はほぼ為替に連動して上下していることが分かります。一方で輸出数量は為替の変動に対してほとんど変化がなく、毎年、少しずつ減少を続けています。
つまり日本の輸出は過去15年にわたって、数量ベースでは減り続けており、為替が円安になれば見かけ上の輸出金額は増えますが、その分だけ仕入れ金額も増加するので、企業の業績にはあまり寄与しない。肝心の数量が増えていないので、日本全体に対する経済効果も乏しいというのが現実です。
為替が円安になったにもかかわらず輸出数量が増えないのは、すでに製造業の多くが現地生産に切り替わっており、輸出比率が減っていることが大きく影響しています。輸出を継続している製品も少なくありませんが、日本企業が作る製品は中国や東南アジアが生産する安価な工業製品とは異なり、価格を下げれば販売数量が大きく伸びるという類のものではありません。
画像引用:現代ビジネス
日本の製造業は円安になっても販売価格を変えていないものの、他国との競争に負け、販売数量を伸ばせていないという現実があります。つまり日本企業の競争力低下によって、輸出を拡大できない状態が15年以上も続いているのです。
このように、円安が進んで名目上の輸出金額が増大することはあっても、輸出数量が増えないという現象は、かなり前から顕在化していました。一連のデータを冷静に分析していれば、円安によって日本経済に大きな恩恵が及ぶ可能性が低いことは容易に想像できたはずです。
本当に日本を強く豊かな国にしたいのであれば、円安になっても企業の急激な業績拡大や経済成長は見込めないという現実を受け入れ、その上で、あらためて経済政策や産業政策について議論していく必要があると言えるでしょう。
配信元:現代ビジネス
公開日:2024/7/24
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