異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ 」を解説《アメリカ編》
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人材育成動向を解説
目次
グローバル事業成功のカギとなる異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“オーストラリア”をピックアップ!
オーストラリアビジネスのプロフェッショナルが指標毎に解説します。
カルチャーマップとは、エリン・メイヤー氏が世界有数のビジネススクール INSEADで教授を務める中で、同校のプログラム参加者である世界各地から集まったエグゼクティブから得た情報を検証し作成された、マネージャーが自覚しておくべき8つの指標において、67カ国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。
01:コミュニケーション
・他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
⇒明確な物言いを好む文化=ローコンテクスト
含みのある物言いを好む文化=ハイコンテクスト
02:評価
・否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか
03:リード
・権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるか
⇒敬意・服従の強い文化=階層主義的、弱い文化=平等主義的
04:決断
・意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するか
⇒合意を重視する文化=合意志向、個人で決断をする文化=トップダウン
05:信頼
・信頼形成にあたり、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するか
06:見解の相違
・意見の対立を是とするか、非とするか
07:スケジューリング
・スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
⇒スケジュール遵守=直線的な時間、状況に合わせる=柔軟な時間
08:説得
・他者を説得する際、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すか
グローバルビジネスにおいて企業から多くよせられる相談のひとつに、「相⼿国の⽂化の理解がマネジメントのネックになっている」というものがあります。
グローバル環境で成果をあげていくためには、異⽂化を理解するための指標を持ち、その背景や要因を紐解いて柔軟に対応していく⼒を⾝につけておく必要があります。
インサイトアカデミーでは、独自にプロッティングした65か国の中から、この度“オーストラリア”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量 / 定性の両面から分析し、オーストラリアビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んだ「国別カルチャーマップ オーストラリア編」をリリースいたしました。
日本との違いをより詳しく学ぶことで、どのような行動をとればよいのかのヒントが見つかるはずですので、オーストラリアでビジネス展開をされている企業様はもちろん、仕事上でオーストラリアの方とコミュニケーションをとる方など、オーストラリアビジネスに携わるすべての方におすすめの資料です。
「国別カルチャーマップ オーストラリア編」資料ダウンロードはこちらから
1. カルチャーマップとは
1-A エリンメイヤーとカルチャーマップ
1-B カルチャーマップ8つの指標
2. カルチャーマップ –オーストラリア-
2-A コミュニケーション★
2-B 評価★
2-C リード
2-D 決断
2-E 信頼
2-F 見解の相違
2-G スケジューリング★
2-H 説得
2-I 日本&オーストラリア文化特性比較
本記事では、上記項目の「★」印のプロフェッショナル講師による解説を公開します。
坂本 真司氏
元 (株) 近鉄エクスプレス ミドルイースト法人社長 オーストラリア法人社長
37 年間近鉄エクスプレスに勤務。物流サービス(航空・海上・陸送及び倉庫)全般にわたる国際物流業務に精通する。 オランダの現地法人で10年間営業責任者としてアムステルダムを拠点にベネルクス 3カ国及びドイツ・イギリス・フランス等の顧客に物流サービスを提供。2010 年から 7 年間オーストラリア現地法人で、2017 年から 2 年間ミドルイースト法人で経営責任者を歴任。
他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
▼ロ-コンテクスト
1.良いコミュニケーション=厳密・シンプル・明確
2.メッセージは額面通りに伝え、受け取る
3.コミュニケーション明確化のため、繰り返しも歓迎
▼ハイコンテクスト
1.良いコミュニケーション=繊細・含みがある・多層的
2.メッセージは行間で伝え、行間で受け取る
3.ほのめかしも多く、はっきりと口にすることが少ない
◎プロフェッショナル講師の解説
ご存知の通り、オーストラリアは英国連邦に所属しており、現地に於いては基本的に欧米文化の特徴ともいえる、ローコンテクストのコミュニケーションが求められます。
同時に、オーストラリアは多民族国家であり、欧州、アジアを中心とする多くの国の人々が、世代を超えて生活をしています。
その為、異文化を背景とする人々同士の日常的なコミュニケーションの解決策としても、ローコンテクストのコミュニケーションが必要とされます。
従って、職場における指示や意見交換の際も、指示の内容は勿論、その背景や期待される結果、意見に至る理由などを言語化して、明確に伝えることが重要です。
日本人同士のコミュニケーションで良く見られる、相手を配慮した遠慮や勝手な憶測などはトラブルの原因となりますので、充分に意識をして明確なコミュニケーションに努めましょう。
否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか
▼否定的なフィードバックを直接的に伝える
1.否定的なフィードバックは率直・単刀直入・正直に
2.否定的なフィードバックを肯定的なフィードバックで和らげることはしない
3.「間違いなく不適切だ」「全く以ってプロフェッショナルではない」といった断定的な表現が用いられる
4.批判はグループの前で個人に対し行われることもある
▼否定的なフィードバックを遠回しに伝える
1.否定的なフィードバックは柔らかく・さりげなく・やんわりと
2.肯定的なメッセージで否定的なメッセージを包み込む
3.「やや不適切だ」「少しプロフェッショナルではない」といった婉曲な表現が用いられる
4.批判は1対1でのみ行われる
◎プロフェッショナル講師の解説
コミュニケーションの項目でも述べた通り、オーストラリアは欧米文化を基調としており、更に多民族国家という環境でもある為、肯定的・否定的を問わず、その評価においても直接的な伝達が求められます。
しかしながら、オーストラリアの教育制度では、個性の尊重が重視されていますので、多くの人々は自分自身が否定されることに慣れていません。
従って、特に否定的な評価を伝える際には、個人の外見や性格に関わることなどには一切触れず、あくまでも仕事の期待値と結果の差異に対する評価として、そして、どうすればその差異を克服することが出来るかという視点で話し合い、将来に向け動機付けすることが重要です。
日本の職場で良く眼にする、大量な報告書や反省文などは理解されません。
尚、直接的な伝達といっても、人前で注意や叱責をすることは、相手の人格を大いに傷付けることになり、却ってマイナスの結果に繋がりますので、会議室などで個別に面談するのが良いでしょう。
スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
▼直線的な時間
1.プロジェクトは連続的なもので、工程が一つずつ順番に進み、邪魔が入ることは想定されていない
2.締め切り、スケジュール通りに進むことが重要視される
3.組織性や迅速さに価値が置かれる
▼柔軟な時間
1.プロジェクトは流動的なもので、場当たり的、同時進行で複数の作業が進められ、邪魔が入ることも受容される
2.順応性と柔軟性に価値が置かれる
◎プロフェッショナル講師の解説
私の実感としては、オーストラリア人は良く言えば大変柔軟性のある、悪く言えばとてもルーズな性格です。
あくまでも個人的な見解ですが、これは恵まれた温暖な気候や自然環境、安定した政治と経済、隣国と対立することも少なく国際関係が上手くコントロールされていることに起因すると考えます。
従って、様々な契約の場面でも交渉の余地が大いにある、或いは会議やイベントなどにおいても、そのスケジュールよりも内容(放っておくと、いつまでも話し続けるという困った面は有りますが)が重視されます。
余談ですが、シドニーのハーバーブリッジを渡るメトロの定期点検や故障による運航停止に対しても、バスへのスムーズな振替輸送が行われ、これらに不平不満を漏らす人々は殆ど居ません。
多様性国家オーストラリアが、現実の中で辿り着いたベストソリューションといえるかも知れません。
異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“オーストラリア”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量/定性の両面から分析し、オーストラリアビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んでいます。
ぜひ貴社のオーストラリアビジネスにおける異文化マネジメントにご活用ください。
講師:岡田 昭人氏
東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
オックスフォード大学教育学博士
世界で結果を出すためには「日本人なら当然と考える価値観や思考習慣が、世界ではそのまま適用されない」という事実に気づくことが第一歩です。
本講座では、多角的な切り口で異文化を理解するために、異文化理解の指標や概念を学びます。
異文化を理解するためには、カルチャーアイスバーグを認識し、自文化と異なる文化との「比較の物差し」を持つことが重要です。
「比較の物差し」の一つとして、「カルチャーマップ」を活用することが効果的です。
その上で、自国の基準で評価するのではなく、対象国の価値観や思考習慣との違い(異文化)、その裏にある背景を捉えようとする姿勢を身に付けます。
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