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アメリカ経済 2023年成長の理由と今後の景気動向

紹介

2022年秋~2023年前半にかけて、多くの民間調査機関は、高インフレと高金利の影響により、米国経済は2023年中に景気後退に陥ると予測しました。
しかしながら、実際には2023年の成長率は2.5%と、潜在成長率とされる1.8%を大きく上回る成長を見せました。

本記事では、アメリカ経済の成長の要因と今後の展望についてポイントをご紹介します。
海外事業戦略立案や当該国のビジネス環境改善立案等における指標としてご利用下さい。

ポイント

ポイント①

アメリカの実質GDP成長率は2023年通年で前年比2.5%と、潜在成長率である1.8%を大きく上回る結果となりました。

民間経済予測Blue Chip Economic Indicatorでは2023年前半の小幅のリセッションを予想しており、2023年1月時点の予測を基に主な需要項目を見ると、消費・設備投資ともに予測と実績値が大きく乖離したことがわかります。

画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構

ポイント②

これらの想定以上の成長が実現した要因は(1)想定以上に良好な家計状況、(2)金利の引き上げが効きにくい環境、の2つが主たる要因と考えられます。

一方でこれらの要因が今後どう推移するかについては多くの不安材料を抱えています。家計状況については、クレジットカードローン依存、ローンの融資基準厳格化、教育ローンの返済免除終了、等の要素を踏まえると、今後は貯蓄を根拠とした活発な消費行動は難しくなることが想像されます。また、実質賃金はプラスで推移する可能性が高いと見込まれますが、賃金は業種によってかなりバラつきが出ると考えられることから、差異が大きくなることには留意が必要です。

金利上昇の影響についても、2024年にかけて徐々に顕在化してくると考えられます。企業部門ではコロナ禍で調達した資金の借り換え時期を迎える事、設備投資における事業分野の絞込み、収益性が悪化した資産の売却や雇用の縮小などが想定されています。家計部門においてはすでに、ローンの長期化、自動車販売の低下、債務不履行の増加、中古住宅を中心とした住宅価格の上昇などの問題を抱えており、2024年には金利高が本格的に人々の生活に影響し始めると予想されます。

画像引用:独立行政法人日本貿易振興機構

ポイント③

2024年は2023年の高成長を支えた要因の多くが剥落する見込であり、多くのエコノミストが予想するのは、年半ばにかけて金融引き締め効果の顕在化に伴い緩やかに景気が減速し、年後半から段階的な利下げなどに伴って回復軌道をとっていく、経済は幾分減速するものの景気後退に陥ることなく、物価安定目標達成に向けた着実な道を描く、という所謂ソフトランディングと呼ばれるシナリオです。

ただしソフトランディングの実現は、フロー面での堅調さがどの程度続くか、高金利の影響をどの程度緩和できるかといった見通しにくい状況にある物価の動向に大きく左右されることに留意が必要です。
アップサイド・ダウンサイド双方とも多様なシナリオがあり得ることを想定しておくことが重要であると言えます。

概要

配信元:独立行政法人日本貿易振興機構
公開日:2024/3/11

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