異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ 」を解説《アメリカ編》
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人材育成動向を解説
目次
グローバル事業成功のカギとなる異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“インド”をピックアップ!
インドビジネスのプロフェッショナルが指標毎に解説します。
カルチャーマップとは、エリン・メイヤー氏が世界有数のビジネススクール INSEADで教授を務める中で、同校のプログラム参加者である世界各地から集まったエグゼクティブから得た情報を検証し作成された、マネージャーが自覚しておくべき8つの指標において、67カ国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。
01:コミュニケーション
・他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
⇒明確な物言いを好む文化=ローコンテクスト
含みのある物言いを好む文化=ハイコンテクスト
02:評価
・否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか
03:リード
・権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるか
⇒敬意・服従の強い文化=階層主義的、弱い文化=平等主義的
04:決断
・意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するか
⇒合意を重視する文化=合意志向、個人で決断をする文化=トップダウン
05:信頼
・信頼形成にあたり、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するか
06:見解の相違
・意見の対立を是とするか、非とするか
07:スケジューリング
・スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
⇒スケジュール遵守=直線的な時間、状況に合わせる=柔軟な時間
08:説得
・他者を説得する際、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すか
グローバルビジネスにおいて企業から多くよせられる相談のひとつに、「相⼿国の⽂化の理解がマネジメントのネックになっている」というものがあります。
グローバル環境で成果をあげていくためには、異⽂化を理解するための指標を持ち、その背景や要因を紐解いて柔軟に対応していく⼒を⾝につけておく必要があります。
インサイトアカデミーでは、独自にプロッティングした65か国の中から、この度“インド”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量 / 定性の両面から分析し、インドビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んだ「国別カルチャーマップ インド編」をリリースいたしました。
日本との違いをより詳しく学ぶことで、どのような行動をとればよいのかのヒントが見つかるはずですので、インドでビジネス展開をされている企業様はもちろん、仕事上でインドの方とコミュニケーションをとる方など、インドビジネスに携わるすべての方におすすめの資料です。
「国別カルチャーマップ インド編」資料ダウンロードはこちらから
1. カルチャーマップとは
1-A エリンメイヤーとカルチャーマップ
1-B カルチャーマップ8つの指標
2. カルチャーマップ –インド-
2-A コミュニケーション★
2-B 評価★
2-C リード
2-D 決断
2-E 信頼
2-F 見解の相違
2-G スケジューリング★
2-H 説得
2-I 日本&インド文化特性比較
本記事では、上記項目の「★」印のプロフェッショナル講師による解説を公開します。
荒木 英仁氏
UJA Global Advisory Pvt. Ltd. 日本ビジネス代表取締役
米国サンディエゴ州立大学ビジネススクール卒業後、広告代理店アサツーディ・ケイ株式会社に入社。
2015 年 5 月よりインドの現地法人代表を9 年間務めた後、日印の懸け橋となるべくビジネスコンサルとして 2014 年にインドにて独立。同時に外資系に特化した UJA Global Advisory(https://uja.in/jp/) と提携日系ビジネスの代表取締役を務める。
今まで在印日系企業 70 社以上に各種コンサルティングを実施。並行してインド最大手の私銀である ICICI Bank を始めとする数多くのインド大手企業とジャパンビジネスのアドバイザー契約を結んでいる。
また 2018年から5 期連続で JETRO の「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム」のオフィシャルコーディネーターを請け負っている。
現在、在印日系企業 6 社の社外取締役を兼務。在印18 年のインドビジネスのベテランである。
他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか
▼ロ-コンテクスト
1.良いコミュニケーション=厳密・シンプル・明確
2.メッセージは額面通りに伝え、受け取る
3.コミュニケーション明確化のため、繰り返しも歓迎
▼ハイコンテクスト
1.良いコミュニケーション=繊細・含みがある・多層的
2.メッセージは行間で伝え、行間で受け取る
3.ほのめかしも多く、はっきりと口にすることが少ない
◎プロフェッショナル講師の解説
インド人は日本人ほどではないものの、ローカルな言語、家族とのコミュニケーションの場面においては「ハイコンテクスト」な傾向が強いと感じます。
しかしビジネスの場面では比較的、「ローコンテクスト」な文化に分類されると感じます。
インドは一つの国の中に多言語・多文化があり、同じインド人同士で会話をする際に母語同士だと通じないことが頻繁にあるため、特にビジネスの世界では英語でコミュニケーションを取る事が非常に多いです。
そのため「ローコンテクスト文化」の言語である英語を使う事で、ビジネスの領域において、インドは「ローコンテクスト」にふるまえる特性があると考えます。
日本の文化の様に「推して知るべし」的な事は期待できないので、伝えたい事がある場合 100%伝える必要があります。
否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか
▼否定的なフィードバックを直接的に伝える
1.否定的なフィードバックは率直・単刀直入・正直に
2.否定的なフィードバックを肯定的なフィードバックで和らげることはしない
3.「間違いなく不適切だ」「全く以ってプロフェッショナルではない」といった断定的な表現が用いられる
4.批判はグループの前で個人に対し行われることもある
▼否定的なフィードバックを遠回しに伝える
1.否定的なフィードバックは柔らかく・さりげなく・やんわりと
2.肯定的なメッセージで否定的なメッセージを包み込む
3.「やや不適切だ」「少しプロフェッショナルではない」といった婉曲な表現が用いられる
4.批判は1対1でのみ行われる
◎プロフェッショナル講師の解説
一般的にインド人はプライドが高い人が多いため、人前で否定的なことを言うことは避けたほうがいいでしょう。
どんなことにでも「すみません」、「申し訳ございません」と言う日本人とは対照的に、たとえ自分に非がある場合でも素直にそれを認め謝罪する人は少ないと言えます。
感情的にネガティブなことを伝えても、「ノープロブレム」の一言で片付ける傾向があります。
そのため、ロジカルに、そして説得をするようにフィードバックを伝えることが肝要であると感じます。
特に、北インドの人たちは歴史的に色々な外敵に攻撃を受け続けた歴史があるので、防衛本能が高く、尚且つプライドも人一倍高いので、彼らの非を責める場合は、周りにインド人がいる場所は避ける事が肝要です。
スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか
▼直線的な時間
1.プロジェクトは連続的なもので、工程が一つずつ順番に進み、邪魔が入ることは想定されていない
2.締め切り、スケジュール通りに進むことが重要視される
3.組織性や迅速さに価値が置かれる
▼柔軟な時間
1.プロジェクトは流動的なもので、場当たり的、同時進行で複数の作業が進められ、邪魔が入ることも受容される
2.順応性と柔軟性に価値が置かれる
◎プロフェッショナル講師の解説
インドではスケジュール通りに物事が進むことの方が稀です。
原因は様々ですが、規制や法律等が突然変わることも少なくありません。
インドで生きていくこと自体、柔軟性やその場の状況に応じた対応を求められる場面が多くあります。
そのため、スケジュールを詳細に組んで、スケジュール通りに物事を進めるという考え方自体が日本に比べ希薄であると感じます。
インドでのビジネスにおいては想定外なことが多々起こるので、バッファを常にしっかりとっておくことが重要です。
また、スケジュールと関連して「期限までに支払いを行う」という感覚も希薄なため、支払については請求側が追いかけない限り払ってもらえないケースが多々あります。
インドビジネスで最も大切なプロセスは「売掛回収」にあります。
日本人は概ね督促行為を嫌う傾向がある為、キャッシュフローで問題を抱えてしまう企業様が多くあります。
異⽂化理解のフレームワーク「カルチャーマップ」から“インド”をピックアップし、8つの指標を説明するとともに、日本との違いを定量/定性の両面から分析し、インドビジネスのプロフェッショナルによる8つの指標毎の考察を盛り込んでいます。
ぜひ貴社のインドビジネスにおける異文化マネジメントにご活用ください。
講師:岡田 昭人氏
東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
オックスフォード大学教育学博士
世界で結果を出すためには「日本人なら当然と考える価値観や思考習慣が、世界ではそのまま適用されない」という事実に気づくことが第一歩です。
本講座では、多角的な切り口で異文化を理解するために、異文化理解の指標や概念を学びます。
異文化を理解するためには、カルチャーアイスバーグを認識し、自文化と異なる文化との「比較の物差し」を持つことが重要です。
「比較の物差し」の一つとして、「カルチャーマップ」を活用することが効果的です。
その上で、自国の基準で評価するのではなく、対象国の価値観や思考習慣との違い(異文化)、その裏にある背景を捉えようとする姿勢を身に付けます。
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