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海外駐在に必要な英語とは|駐在英語①    ──現場で成果を出す「誤解されない英語」

海外駐在に必要な英語とは|駐在英語①
──現場で成果を出す「誤解されない英語」

「海外赴任ではどの程度の英語力が必要なのか?」
これは、赴任前の多くのビジネスパーソンが必ず抱く疑問です。

多くの方が英語力そのものを不安視しますが、
海外駐在員育成・英語コミュニケーション指導の専門講師 鹿島龍太郎氏 は、
実際の駐在現場で問題となるのは文法力や語彙力ではなく、
“誤解されるコミュニケーション”であると指摘しています。

・なんとなく伝わった気がしてしまう
・その場を乗り切れたと誤認してしまう
・日本語の曖昧な表現をそのまま英語に置き換えてしまう

鹿島氏によれば、こうした日本語と英語の構造差への理解不足が、
現地での齟齬や摩擦につながりやすくなります。

そのため、海外駐在で本当に求められるのは語彙量の多さではなく、
「誤解されない伝え方(=駐在英語)」を身につけることだと強調しています。

本記事では、海外駐在員育成・英語コミュニケーション指導の専門講師として
これまで多数のグローバル人材育成に携わってきた鹿島氏のセミナー内容をベースに、“現場で本当に必要とされる英語”を解説します。


海外駐在で必要な英語が誤解される理由

多くの駐在員が「英語力が足りないからうまくいかない」と考えがちですが、
鹿島氏はそれを本質的な誤解だと言います。

駐在現場で起こるコミュニケーション課題の多くは、
以下のような 構造の違い から発生します。

・文化が違う
・仕事の進め方が違う
・コミュニケーションの基準が違う

こうした前提を理解しないまま日本式の感覚で英語を使うと、

・「伝えたつもり」が伝わらない
・意図しない誤解が生じる
・現地メンバーとの摩擦になる

といった問題が起こります。

鹿島氏は、このズレを「文化 × 期待値 × コミュニケーション構造」の違いとして体系化しています。


海外駐在の現場に潜む「3つのズレ」

①文化のズレ:察する日本 × 説明する海外

日本は「ハイコンテクスト文化」で、
状況や空気を読んで相手の意図を推測するコミュニケーションが主流です。

一方、海外の多くは「ローコンテクスト文化」。
言語化が基準で、背景・意図を明確に伝えなければ誤解を招きます。

日本:「この件、よろしく」で伝わる
海外:「何を、いつ、どの程度やるのか?」が分からない

🔎 ポイント:海外駐在では、情報を言語化して説明する姿勢 が不可欠

②期待値のズレ:仕事の“当たり前”が違う

国・組織によって、業務遂行の基準は大きく異なります。

・スピード優先か、正確性優先か
・自己判断か、上司承認か
・どこまで報告が必要か

これらの期待値が揃わないまま業務を進めると、誤解が必然的に発生します。

🔎 ポイント:期待値は 言語化し、相互に認識合わせを行うこと が重要

③コミュニケーション構造のズレ:結論の位置が違う

・日本:背景 → 理由 → 結論
・海外:結論 → 理由 → アクション

この構造の違いが、海外での
「結論は?」「判断が遅い」「何を求めている?」
という評価につながります。

🔎 ポイント:海外では、結論から伝えることが配慮あるコミュニケーション


駐在成功を引き寄せる「誤解されない駐在英語」3つのポイント

鹿島氏は、成果を上げる駐在員に共通するのは
誤解されない伝え方の構造” を使いこなしている点だと説明しています。

以下では、その3つのポイントを整理します。

① 真意や意図に合わせた表現を選ぶ

駐在先では、まず 「何を伝えたいのか」 を明確にしなければなりません。
日本語特有の曖昧さをそのまま英語に置き換えると、誤解が生まれやすくなります。

■ ケース:現地工場での指示
「毎日、機械のメンテナンスをしてほしい」と伝える場面。

❌ やりがちな例
Please take care of the machine every day.

take care of は、清掃・点検・修理など、意味がとても広く指示として不十分です。

⭕ 誤解されない例
Let’s start checking and maintaining the machine every day.
It will help us avoid trouble. OK?

・行う内容:checking & maintaining
・頻度→every day
・理由→avoid trouble
・理解確認→OK?

🔎 ポイント:駐在英語では、要素を整理し“抜け漏れなく伝える”ことが重要

② 場面 × 関係性に応じて「型」を使い分ける

駐在先では、業務シーンと相手の関係性によって適切な英語が変化します。

よくある場面
会議・指示・依頼・合意形成・トラブル対応・上司報告・現地スタッフとの日常会話

さらに、上司・同僚・部下・取引先など相手関係によっても言い回しは変わります。
鹿島氏は、駐在英語を次の 6つの型 に整理しています。

型 (Type) 内容 (Content) 例 (Example)
指示型 (Instructive) 行動を指示する。 Please complete the report by 3 PM today.
依頼型 (Request) 協力を求める。 Could you review this draft by tomorrow?
確認型 (Confirmative) 意図や事実の確認を行う。 Just to confirm, do you want me to proceed with this plan?
合意形成型 (Alignment) 合意を揃える、共通認識を確認する。 We agreed to start the project on Monday.
提案型 (Suggestive) 改善案やアイデアを提案する。 I propose we adjust the schedule to avoid delays.
配慮型 (Considerate) 相手の状況や感情に配慮を示す。 Is there anything I can do to help with your tight deadline?

 

🔎 ポイント:語彙暗記ではなく「状況に応じてどの型を選ぶか」の判断

③ 相手に合わせた「強度調整」を行う

同じ表現でも、相手によって求められるトーンは大きく異なります。

・上司:丁寧・控えめ・正確
・同僚:フラット・協調的
・部下:簡潔・具体的
・取引先:礼儀・信頼感

🔎 ポイント:相手に応じた “英語の強度調整” は、海外での信頼形成に直結する

海外駐在は英語力より「誤解されない伝え方」

鹿島氏が繰り返し強調するのは、
海外駐在とは 英語力ではなく“仕事を前に進めるコミュニケーション”の場 だということ。

・真意を明確にする
・結論先行で伝える
・場面 × 関係性で型を使い分ける
・相手に応じて強度を調整する

これらを身につけることで、駐在コミュニケーションは大きく改善します。


最後に:更に深く学ぶ

海外駐在で発生するトラブルの多くは、
伝えたつもり” と “伝わった内容” のズレ から発生します。

この記事では要点を整理して紹介しましたが、実際の現場ではさらに複雑なケースが多く存在します。

鹿島氏のセミナーアーカイブでは、

・誤解されない依頼の方法
・トラブルを招きやすいNG英語
・上司・同僚・部下で変えるべき表現

など、現場で“そのまま使える英語の型”をより詳しく解説しています。

👉 セミナーアーカイブを見る

 


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